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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 白き羽の騎手 ( No.6 )
- 日時: 2009/12/30 00:09
- 名前: アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
「失礼します」
入ってきたのは、小さな女の子だった。見た目からして10歳、11歳だろう。
亜麻色の髪をお下げにしている。
とても、かわいい子だ。
手にはお盆を持っていた。
「夕食を運んできました」
「ありがとう。机の上に置いといて」
ユイが微笑みながらそう言うと、女の子は頭を下げてから、部屋に入ってきた。
そして、お盆をユイの前に置いた。
お盆には、大きな皿が三つ置いてあり、その二つが料理だった。
お米の上に野菜の千切りをしいてあり、その上にタレをたっぷりつけた、焼いた肉が乗せてある。
まだ作りたてのようで、いい香りと共に煙が立っていた。
「わぁ、おいしそう!」
ユイは視線を三つ目の皿に映した。
そこには、赤い鬱金香のような形をした果物が盛ってある。
レンが街で買ってと頼んできたのと、同じ物だ。
「あら、これは……」
「こちらは、ここ周辺でしか取られない果物です。旅の方にはめずらしいかも知れませんね。皮ごと食べるのが、一般的ですよ」
女の子はユイが不思議そうな表情をしたのを見て、すかさず説明した。
「そう、ありがとう」
お礼を言うと、女の子は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「す、すみません……いきなり、失礼ですよね」
随分内気な子だと、内心思いながら、ユイは首を横に振った。
「ううん。私はよくこの世界の事を知らないから、教えてくれて助かるよ。ありがとう」
背が、自分より頭が一つ分も違う女の子と目線を合わせながら、ユイは言った。
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