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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 5. ( No.17 )
- 日時: 2010/01/09 13:49
- 名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: IJ2q7Vk/)
正体は掴んだ。
後の問題は、どうやってあれをここから、……この世界から。元の場所に戻すか、という事だった。
何故、自分がここまでこの村に関わろうとするのか。さっさと立ち去ればいいものを。
自分でも、何故あれを戻そうとしているのかは分からなかった。でも、そうしなければいけないような気がした。それがさらに自分の思考をややこしい事にしていた。
「…ここ、かな?」
「村の中心」であろう場所で足を止める。
その場で辺りを見回し、先ほどしまったばかりの剣を取り出した。
あれの正体は、恐らく———それなら、これで問題ない筈だ。
剣で円を描き、その中に魔方陣の模様を作る。
「…還れ」
呟いて剣を地面に突き刺した。その瞬間、魔法人の周りに光が舞い、大きな円を作る。——ここに誰かがいれば、間違いなく感嘆の声を放つ事が予測できるほど、それは美しい光景だった——そして、少し経った後、その光は魔方陣と共に姿を消した。
「お前らは、「ウィスプ」だろ?」
光が消え、剣を地面から抜いてから、何に訪ねる訳でもなく言う。
聞いた事があった。
生きているものが消えた街には、「ウィスプ」と呼ばれる魔物が住み着き、そこの近くに来たものに幻覚を見せる。
立ち去らせるには魔方陣を書かなければいけない事も、剣をその中心に刺すという事も、全て何処かで聞いたことのあるその話と全てが一致していた。
恐らくその話は、「本物」が誰かから聞いた話の類だろう。例え記憶に無いとしても、あの研究者達がそんな話をするわけが無い。それだけは確信が持てた。
瞬間、
何も見えなくなった。聴こえなくなった。
瓦礫も、強く吹き付ける風の音も。
そして、世界が暗転した————
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…楽しい。でも疲れる(しつこい
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