ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 1. ( No.7 )
- 日時: 2010/01/01 14:32
- 名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: oPoK9o5A)
目が覚めても、何も変わらなかった。
つまり答えはひとつ、夢じゃ、ない。……これなら、夢の方がまだ良かった。目の前には深い、暗い、黒い森。遠くを見ても何も見えない、地の果てまで続くかとさえ思う程の森。その木々を揺らす冷たい風。
そして、今まで閉じ込められていた塔の周りには、………沢山の、死体。
誰も知らなかった。何も分からなかった。
「………此処は、何?」
無意識に、そう呟く。
ふと自分の手を見れば、こびりついた緋い液体。…これは、血?自分が、この人達をころしたの?
どうしたんだろう。僕は、私は、自分は。本当に、何も覚えていないんだ。何があった?何が起こった?誰か教えてよ。教えてほしい。でも、ここには誰もいない。何も無いんだ。あるのは暗い森と、白い塔と、人殺しの自分だけ。
どこかで何かが、壊れる音がした。どこかで誰かが、消える時の音が聞こえた。
ほんとうにぼくは、ひとごろしなの?知らない。見えない。聴こえない。分からない。
カチャリ。
そんな、何かが揺れる音が背後から聞こえる。振り向けば、そこには大きな剣。自分が背負っていた。
……これが、僕の凶器か。そう呟いて自分への嘲笑を含ませて笑う。
ああ、つまり自分が「殺人」という罪を背負ってしまったことは明らかな訳だ。実際、それを抜くと手と同じように血がこびり付いている。
いつもと同じ日常だった。…はず、だ。
いつもと同じように食事を貰って、いつもと同じように働いて、いつもと同じように吐いた血液から自分の命の制限を計って。
…僕は、そんな「日常」が嫌いだったのかもしれない。わからない。命の制限を計ることはできても、自分の感情を図ることは僕にはできなかったようだ。つまりその結果がこの光景な訳だが。
「…どうするのさ。これから」
この国の情報の伝達速度をなめてはいけない。
事実、数時間前に西方も王都で起こった事件が東方の隣国の国境に一番近い建物である「白い塔」に伝わった事があるのだ。この「白い塔」の事件はすでに王都に届いているだろう。
しかも、今の自分はほぼ血まみれに違いない。鏡が無いのでよく分からないが。こんな恰好で歩いたら事件のことが無くても捕まってしまう。
……面倒くさい。
心の中で軽く舌打ちして、奥へと続く暗い森を見つめる。…取りあえず、ここに入るしかない。
そう思って、まだ少しふらつく足で暗い森へと入って行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ぼくつかれた。(何
2話目も頑張りますよ?ええ、頑張りますとも…