ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

2.  ( No.9 )
日時: 2010/01/05 12:52
名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: IJ2q7Vk/)

誰かが言った。
「お前は作りモノだ」
「作りモノはここにいてはいけない」
何かが壊れる、音がした。



暗い森では、何も見えない。木々が光を遮るから。
その代わりに幻が見える。一番思い出したくない過去のことが。
でも、僕の目の前には闇が広がるだけ。……僕は何も知らない。「自分」の記憶を持っているのは『あいつ』だけ。きっと、あの人達を殺したのは僕だろう。「作られた」僕には何も分からないけど。
「…見えないな」
何も、見えない。どうしたって、何をしたって、僕には何も分からないから。
ほら、今だって自分の足音も聞こえない。塔に吹きつける風の音は聞こえたのに。
何かが消えた。何も見えない、分からないけど、それでも消えた事は分かった。
「お前だろ?…消したのは」
そう呟いて後ろに背負っているそれを見る。予想通り、それは弱く光を放っていた。
「本物」の記憶で誰かが言っていた。
「それは全てを消すものだ」
つまりはそういうことだろう?早くしろよ。僕は消えても構わないから。でも、多分それは無理なのだろう。僕を消せば本物が永遠に起きられなくなるから。本物が起きなければ、大人達はきっと狂ってしまうから。
僕は何も出来ないから。何にも知らないから。
だから「作り主」たちは僕を捨てたんだろう。でも「一番近い」のも僕だから、作り主達は僕を殺せなかった。
「…え?」
光が見えた。
何も見えないはずなのに。何も分からないはずなのに、それだけは分かった。遠ざかっていく光に手を伸ばす。
待って、待って、待ってよ!もう1人は嫌なんだよ…
いくら手を伸ばしても届かない。
光が、見えなくなっていく———
プツン。
そこで、意識が途切れた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
疲れる…!これ疲れる…!(何