ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Requiem〜約束の鎮魂歌〜/オリキャラ募集中 ( No.11 )
- 日時: 2010/01/04 20:21
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
Tune03 漆黒の喰魂-jet soul-
プルトリスの町には、人間、魔術師、死神が混在する。
魔術師や死神は少数だが、彼らがもたらす被害は大きい。
死神はほとんどが魂を回収するという使命に忠実だが、例外もいる。
魔術師はこの人間界の裏の世界から来たと言われていて、
良からぬことをたくらむことが多いため、人間に恐れられている。
だが、それにも例外は付き物で、もちろん友好的な魔術師だっている_____________
*
窓のない、薄暗い地下室。蝋燭の灯火が風もないのにちろちろと揺れる。
部屋の真ん中には、二人の少女がいた。
「彼がファトラ=フォートセバン……ですか」
後ろで無造作に纏められた、癖のある藍色の髪を揺らしながら彼女は言った。
いや彼?いや彼女?まあ今は女ということにしておこう……。
人間で言うと高校生ぐらいに見える。何よりも目をひくのは、左目を覆い隠す黒の眼帯。
少女は目の前に置いた水晶を銀色の瞳でじっと見つめる。
「案外普通……であります。エリ、本当に彼が“獰乱の牙”でありますか?」
もう一人の少女、“サリ”こと“サイサリス=ミーゼット”は怪訝そうにこたえた。
腰までの水色のチャイナ服と、黒い上着、黒いミニスカートを着用していた。
ポニーテールにした長い黒髪が、蝋燭の明かりに照らしだされる。
意志の見えない青い瞳は、もう一人の少女、“エリクシール=フランティスカ”同様、
反対側から水晶玉を覗きこんでいた。
「確かに、見た目には普通の少年ですね。どこからどう見ても……。
噂では相当のやり手と言うことですが……」
「行ってみるでありますか?」
サリが言うと、エリは顔を上げその青い瞳を見つめた。
「そうですね。二人とも出かけていることですし……」
サリは立ち上がるとポケットから折りたたまれた黒いブーメランを取り出し、
傷がないかを確認した。
そんなサリに向かってエリは言った。
「サリ、あなたは何故この[漆黒の喰魂(ジェット'ソウル)]に入ったのですか?」
「主がそうお望みになられたのであります」
サリは無機質な瞳をエリに向けてそう言った。
エリは「そうですか」とだけ言うと、自分も出かける準備にかかった。