PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.1 )
- 日時: 2010/02/03 20:34
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: htYXwhzX)
出会いは始まり
見渡す限りの花畑に透き通った歌声が響く。歌っているのは金髪、青い瞳の少女、竜宮 葵(リュウグウ アオイ)である。白いワンピースに黒いボレロを羽織っている。
葵の肩には、海のような青の髪、燃えるような赤い瞳の小さな少女、リーフィルが座っていた。短いワンピースの下に短パンをはいている。背中には羽があり、妖精のように見えた。
突然歌うのをやめ、回りを見渡す葵。リーフィルは葵の肩から離れ、辺りを飛び回る。
そんな葵とリーフィルの前に一人の少年が現れる。少年とは言っても体つきは華奢で、顔立ちもどこか少女のよう。いわれなければ誰もが少女だと勘違いするであろう。
少年は長い黒髪に、左目は深い青、右目は眼帯で隠されていて分からない。瞳には輝きが宿っていなくて、まるで人形のようだった。白いTシャツにケープを羽織っていて、ジーパンを履いている。首にはチョーカー。
少年は葵を少し見た後、フッと笑い、長い髪を揺らしながら歩いていく。知らない人に笑われてムッとする葵。
「ちょっと!? 貴方、人を見て笑うとは失礼ではありませんこと?」
大声で叫ぶ葵。少年は黙って振り返り、「僕は貴方じゃない。ちゃんとした名前がある」と言う。
「私には、貴方の名前なんか分かりませんもの。どうやって名前で呼べと?」
少年は目を細めて面白そうにフッと笑う。葵は「また笑うか」と小さな声で言う。
「僕は桜梨。覚えておくと良い」
少年……桜梨はそれだけ言うと髪を翻して歩いていく。そんな桜梨の姿を見て、葵は「何か変わった子と会っちゃいましたわね」と呟くのだった。
PR