ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 月下の犠牲-サクリファイス- ( No.2 )
- 日時: 2010/03/11 22:11
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: x8gi1/u3)
第一話〜サクリファイス〜
賑やかな教室。ほとんどの生徒のよこにはサクリファイスがいた。サクリファイスとは人と契約を結ぶことによって特殊な力を発揮し、契約者を守るもののことである。
サクリファイスには一般に知られている所で三つの種類がある。その中で一番一般的なのが妖精型サクリファイスである。妖精型サクリファイスの特徴は、手のひらに乗るくらいの大きさの人間に羽根が生えていて、感情が無いことである。本当に稀にリーフィルのように感情を持ったものもいるのだが。
次に動物型サクリファイス。名前から分かるように動物の形をしたサクリファイスのことである。動物型サクリファイスの特徴は、素早い動きと危機察知能力の高さである。
最後に人間型サクリファイス。見た目は普通の人間とたいして変わらず感情もある。特徴は異常なまでの戦闘能力の高さである。後は異常に運動神経がいいとも言われている。
サクリファイスの九割が妖精型、又は動物型である。人間型は珍しい上に強い。そのため不正な方法を使い、契約を交わそうとするものもいた。
賑やかな教室に葵とリーフィルが入ってくる。途端にその場は静まり返る。なにやら恐ろしいものを見るような目で葵を見る生徒たち。葵はそんなの気にしていないらしく黙って席に座る。
そんな葵の横の席には長い黒髪に、燃えるような紅蓮の瞳の少年、紅蓮 來斗(グレン ライト)が座っていた。
「あれ? アオちゃん。また同じクラスですね」
葵に気づいた來斗が明るい笑顔を浮かべて言う。静かに頷く葵。この学校は少し特殊で、クラスが日によって変わる。だから、前の日は違うクラスだった人と、次の日は同じクラスと言うこともありえるのである。
「おー? 君たちとは初めましてやな。可愛い子二人も発見や」
そう言って來斗と葵に近づいて来るのは二人の男女だ。肩よりも少し上位までの赤髪に前髪で右目が隠れていて、左目は紫の瞳の少年、同級生の月条 流架(ツキジョウ ルカ)だ。その後ろには肩より少し下ぐらいの長さの紫の髪に、赤い瞳の少女、紅零が立っている。
「どなたですか?」
明らかに怪しいものを見るような目で流架を見る來斗。葵はいつの間にか立ち上がり半歩後ろに引いていた。流架はそんな二人の様子を見てポケットに手を突っ込み、生徒手帳を取り出す。
「俺は月城 流架や! んで、こっちが俺のサクリファイスの紅零。お二人さんは? 先に黒髪のお嬢さんから」
「紅蓮 來斗。それとお嬢さんじゃない! 僕は男です」
お嬢さんと言われたのが気に入らなかったらしく、素っ気ない態度を取る來斗。葵はそんな來斗を見て苦笑いを浮かべる。
「ありゃ? そうなん? 悪い悪い。 んで金髪のお嬢さんのお名前は?」
本当に謝る気あるのか? そう思い顔をしかめる來斗。申し訳なさそうに紅零が頭を下げたから、流架を殴りそうになった手を押さえつける。
「私は竜宮 葵ですわ」
満足そうに頷く流架。さりげなく二人の写真を撮って、來斗に五千円要求されている。そんな三人の様子を窓際から見つめているのは、肩ぐらいまでの茶髪の髪にどこか怪しげな紫色の瞳の少年、天魔 蒐(テンマ シュウ)だった。