ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鬼姫 ( No.10 )
日時: 2010/01/06 23:31
名前: 璃亞 ◆rhGzPkONPY (ID: 21pxq.RV)

-02
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昨日と同じ、暗くてジメジメとした木の間を
徹は歩いていた。
昨日歩いて慣れていたのか、昨日程息は上がってない。

(あー……だる……なんで、俺此処に来てるんだっけ??)

そんな愚痴を心の中で呟いていると、
昨日と同じ光の塊が木の間から漏れた。

————昨日より、薄く、暗い光——

****

「え…………??」
祠に着くと同時に徹は、間抜けな声を出した。
祠の前に紅い髪をした『女性』が立っていたのだ。

女性は声に気づいたのか、徹の方へ顔だけ向けた。
白地の着物を少し肌蹴させて着ている女性……。

「あっ……!!!」
徹は今度は驚きの声を上げた。
その『女性』昨日見た夢の女とそっくりだったのだ。

『女性』は小さく「フッ」と笑うと徹の方へ歩み寄り始めた。

「あ、おめ…お前!!!あっいや!!あ、ああああの!!何処かで御会いしませんでしたか!?」
徹が言い終えたと同時に『女性』は足を止めた。
すでに徹の傍まで着いていた。

徹は舌が上手く回らず、焦りながら言った台詞に羞恥心を抱いたのか、
目をギュッと瞑り、下を向き俯いている。

時間が止まった様に、二人の間には沈黙が続く。
『サァサァ』と風と木の葉の音が響く。

「……古典的な口説き方だのぉ、人間の男」
沈黙を破ったのは『女性』だった。

「………へ??」
間抜けな声と共に徹は顔を上げた。

  其の途端————

————ガシッ

「ヒッ…………!!!!」
小さな悲鳴を上げる徹。

『女性』が徹を頬を両手が包む様に頬を触り、
顔を間近に近づけているのである。
爪が伸び先が尖っているのか、頬に当たり少々痛い。

まじまじと『女性』が此方を見つめる。
紅い瞳が徹の茶色い瞳と合う。

「あ、あぁぁああの……!?」
「…………」

『んー…』と少し唸ったのか、返事をしたのかは不明だが
『女性』は徹の体を見始めた。

髪、項、手、腕、足、腿、脛

隅から隅まで、まずで「始めて見る物」でもあるかの様に徹の体を触ったり、まじまじを見ている。

そして、最後に服を紐に手をかけようとした

「お、おい!!!」

————ピタッ

我に返ったように紐にかけようとした手をおさめ、
徹の方へ向き直った。

「やはり……か」
少し考える素振りをするように顎に手をかけ、
自分の世界へ入り込んで行ってしまった。
「『やはり』じゃねぇよ!!何なんだよ、アンタ!?俺もう帰………」

————ガバッ


「なっ………//////」