ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鬼姫 ( No.3 )
- 日時: 2010/01/05 14:14
- 名前: 璃亞 (ID: 21pxq.RV)
*一章*-山奥の祠-01
「あー…暇だなぁ…。」
大きな欠伸共に、その人間のオスは畳へ寝転んだ。
寝転んだ拍子に敷いてあった布団に頭が当たり、
「ホフッ」っと言う妙な音を立てた。
「フフッ…だったら…外で遊んでこればいいのに、徹ったら…。」
『クスクス』と小さな笑いをしながら人間のメスが言った。
『徹』と呼ばれた人間のオスは起き上がり、
メスに向き合い言った。
「寝たきりの芹を置いて遊びに行ったらお袋に怒られるんだよ。」
「……御免なさい、私の所為で…。
小母さんには私から言って置くから…遊びに言ってきても大丈夫だよ??」
『芹』と呼ばれたメスは徹の顔を覗き込むように話した。
「え??マジ??いいの!?んじゃ、行って来るわ!!!」
そう言ったと同時に徹は家を飛び出して行った。
芹の「行ってらっしゃい」という声が、
本人に聞こえたかは、徹しか知らない事。
*
「おっ、徹じゃん!!芹ちゃんの面倒はいいのかよ??」
川原へ行くと徹の親友である人間のオス…『たか』が居た。
「ん、芹が『遊んで来いよ』だってさ。」
少し面倒臭そうに徹はたかに説明した。
「へ〜…芹ちゃん…早く具合良くなるといいけどな…。
隣の村から良い医者が時々診に来てくれてるんだろ??」
「あぁ……まぁな。」
さっき同様に徹は面倒臭そうに返事をする。
これは徹の癖。
芹や身内の前以外では…謝意な為か、意識しているのか、
少し冷めたような態度になってしまう。
それ以前に、徹にとって『芹』の話はタブーなのである。
「……まぁいいや、なぁなぁ!!今からこの間祭りでお供えした
山奥の饅頭を皆で食べに行くんだけど徹も来ないか??」
「あ??そんなことしたら鬼に祟られるぞ??」
鬼宗教の盛んな徹の村では、悪さをすると鬼に祟られると言われているのだ。
「だいじょーぶだって!!あれ??それとも徹…
お前…怖いのか??」
『ニヤリ』と言いそうな笑顔でたかが悪戯半分で徹を挑発するように言う。
—————『カチンっ』
「は??別に怖くねぇよ!!そこまで言うなら行こうじゃねぇか!!」
「さーすが!!徹!!行こうぜ!!」
++++
『悪さをすれば鬼に祟られる』
それは村の言い伝え……————
それは嘘であって本当の事。
徹はまだ知らない。
山奥へ行くことで、自分の身に降り掛かる
惨劇を………————