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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鬼姫 ( No.6 )
- 日時: 2010/01/05 14:14
- 名前: 璃亞 ◆rhGzPkONPY (ID: 21pxq.RV)
-03
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「ただいま〜…。」
「あっ徹!!!お帰り!!!」
帰ってきた徹に対して、芹は少し頬を赤らめ迎えた。
「ん?芹……お前少し顔赤いぞ??熱でも出たのか??」
額に手を当てようとした徹の手を芹は振り払いながら
「なっ、何でもないよ!?それより、何して遊んで来たの??」
気が動転しているのか早口でそういった。
「……?んー…あぁ、たか達と一緒に山奥の祠まで行ってた」
「え??山の祠??……まさか徹…供え物の饅頭食べたんじゃ……」
「食ってねぇよ!!鬼に祟られるのはゴメンだからな!!」
図星を付かれた所為か、少し早口で徹が否定する。
「あっ、徹図星なんだ。徹は嘘つく時は早口になるんだもん」
「…………うっ……」
芹が珍しく「アハハ」という笑い声を上げる。
「徹……そんなことして大丈夫なの??鬼に祟られちゃうかもよ??」
「あ〜……別に鬼なんて居ないだろ。村の迷信、迷信!!」
「なら……いいけど……」
少し心配そうな顔で芹は徹を見つめる。
「…………」
徹は心配する芹の頭を少し乱暴に撫でた。
「大丈夫だって!俺が祟られる時はたか達も一緒だし。
さてっと俺、そろそろ帰るな」
「うん、じゃぁね」
気がつけばもう日は落ち始め、空は赤く赤く染まっている。
これから起きることを暗示するように
空は暗い闇へ包まれ始める。
++++
少年は夢を見た。
赤い髪、赤い瞳をした女に出会う夢。
女は何をするわけではなく、
少年の方へ向きかえり『ニヤリ』と笑いこう言った。
「また……祠で待ってる」
————女はそう言って消えた。
長い、長い夢……。
*一章終わり*
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