ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: -妖狐と魔術の交差点- ( No.8 )
- 日時: 2010/01/09 16:39
- 名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)
交差点04
今日はついていない、と雪降る中で神崎は思う。
コンビニから帰ってくれば冷蔵庫が荒らされてるわ、自称妖怪にマフラーを燃やされるわ……。外の空気がより一層寒く感じられる。
そういえば自分はどこに行くのかと、神崎はふと考えた。急に家を飛び出した為、行く先などまったく考えていない。
「あー、どうしよ。とりあえずコンビニ行って立ち読みすっかな……」
結論として、神崎はついさっき買い物をしたコンビニへと逆戻りすることになった。
自動ドアが開くと「いらっしゃいませ」と店員さんの営業スマイル。神崎はそれをスルーして、さっさと漫画や雑誌が立ち並んでいるところに行ってしまう。
そして神崎は、本日は本当についていないと思う。
「……あ、お前」
「神崎辰巳!? どうしてこないなところいるんねん!」
神崎の視界には今、このコンビニの中で一際目立つ存在、そして神崎の苦手とする人物が映っていた。
陰陽師の服装に、関西弁を喋る黒髪ポニーテール少女の名は夜桜茉莉(よざくらまつり) 陰陽師(自称)にして神崎の同級生。
「お前こそどーしてこんなとこいるんだ、陰陽師サマがのびのびとコンビニで立ち読みか?」
「うるさいで。陰陽師が立ち読みしたらあかんのか!? てかあんた、うちの事馬鹿にしてるやろ!」
「馬鹿にしているもなにも、陰陽師なんて信じるかっつーの」
吐き捨てるように神崎は言う。基本魔術だの呪術だの、そういう系統は信じない主義なのが神埼だ。
その言葉にキレたのか、茉莉の眉間がピクリと動いている。だが神崎はそんな事まったく気にしない。
「今すぐ出てけや! あんたがいると雑誌が汚れるやろ」
「何で俺がいると雑誌が汚れるんだ! お前が出てけ自称陰陽師!」
「何でもそうなもんはそうやからや! 早よ出てけ滅するで!」
「滅せるもんなら滅してみろエセ陰陽師!」
「な、誰がエセやてぇ……!?」
そこまで言い終えたところで、神崎と茉莉は気づく。周囲の迷惑そうな視線が、刃物のようにこちらに突き刺さっていた事に。
神埼は茉莉と口論するのを止めて、出口へと向かう。
「ちょ、どこ行くねん神崎!」
「出てくに決まってるだろーが! 馬鹿かお前」
「ま、待て! うちが出てく! あんたは此処に残り!」
「お前さっきと言ってること違うだろ!」
「いいからうちが出てく!」
神埼と茉莉はコンビニ内の敵意ある視線から逃れようと、またしても口論を始める。これには店員も呆れ顔だ。
結果的には、二人してコンビニから出て行く事になったのだが。
「何で着いてくるんだエセ陰陽師!」
「あんたこそうちの行く先に着いていかんでくれる!?」
今日は本当についていない日だと改めて感じ、小さく溜め息をつく神崎だった。