ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 第四章開始! ( No.103 )
- 日時: 2010/08/02 22:05
- 名前: 白魔女 (ID: zi/NirI0)
「まったく。喧嘩するなら他所でやってほしいわ! いきなり触ろうとしたグレイも悪いけど、クロスも朝から喧嘩吹っかけないの!」
乱暴に紅茶をテーブルに出したアリスは不機嫌そうにそう怒鳴った。そのテーブルでくつろいでいた男はバツが悪そうに苦笑いをした。
「あはは……アリスはいつもツレナイなぁ。久々の再開だってのに」
グレイと呼ばれた金髪の男は、また白猫の姿から人間の姿に戻っていた。しかし白い猫耳としっぽはまだ残っている。
クロスといえば、グレイ同様に人間の姿に戻っていたが、部屋の隅ですねていた。黒い猫耳は元気がないようで、下にさがってしまっている。
「アリスもまだ、あの男とやっていたのか。まったく、クロスなんかと契約しないで、俺と契約すればよかったものを……」
「余計なお世話だっ!」
グレイの言葉にクロスが大声で反応する。またもやため息をするアリスが、内心この光景を面白く思っているだなんて誰も思っていないだろう。
「なあ、アリス。今からでもいい、俺と契約しようぜ?」
デートしようぜ? というノリでグレイは言ったが、アリスは
「お断りします」
と笑顔で答えた。グレイはガックリと頭を下げる。
「まったく、グレイも相変わらずなのね。じゃ、私台所で朝ごはん作ってるから」
その場を去ったアリスの背を眺めながら、グレイはぼそりと言った。
「はーぁ……アリスも相変わらずだな。もうちょっと笑ったりしてくれたら、もっと可愛くなると思うんだが……いやいや、俺はこのアリスも好きだが……」
「黙れ変態猫」
唸りながらいうクロスを横目に見て、グレイはわざとらしくため息をついた。首を横に振る。
「アリスも大変だな……こんな奴と、よくやってけ……」
「あともういっぺん言ってみろ。お前の首が飛ぶぜ?」
「あはは……ご冗談を」
そういうグレイは、クロスが背の後ろでナイフを持っていることに気がつかなかった。