ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.22 )
日時: 2010/01/08 21:41
名前: 白魔女 (ID: GEbzXJEw)

二話——サバト


「ねぇ!サバトってどんなところ?楽しい?人いる?お祭り??」

 サバトに行くと宣言したアリスは、ルリから質問攻めだった。それをとことん無視するアリス。

「なぁ。本当にサバトに連れて行くのかよ?人間の子供だぜ?食われるかも……」

 クロスがアリスに向かって言った。が、アリスは慌ててその口を押さえる。いや、口で話しているわけではないが、反射的にアリスはそうした。

「え?食われる?誰が?」

 キョトンとするルリ。二人共、ホッと一息つく。

「大丈夫だよ、クロス。あたし一応、あっちの世界じゃ有名だし?知り合い多いし、大丈夫」

「ならいいがな……」

 クロスはため息をついた。



 サバトとは、簡単に言えば魔女の集会である。金曜日から土曜日までの夜中に行われるパーティで、魔女達は人には言えない悩みなどを、魔女同士、語り合う。魔女達にとっては唯一落ち着ける場所だろう。そして人間にとってはもっとも落ち着けない場所だろう。魔女達がいるからもそうだが、サバトは悪魔達も集まるのだ。そう、クロスも——。

「久々に友達に会えるんだよ?クロス」

 アリスはクロスの背中を撫でるが、はたかれる。

「猫扱いすんなよ。大体、誰のおかげで「久々」になったと思ってる。ここ最近、ずっとサバトに行かなかったじゃねぇか。それに、ルリを連れてって、どうするんだよ」

 アリスははしゃぐルリを遠目で見ていった。

「いや……ルリが喜ぶと思ってね。サバトには、色んな魔女がいるから、退屈しないでいいと思うし。色々報告あるし」

 アリスはポケットから、この前女が持っていた“魔法石”を取り出した。

「っ!お前、それ持ってきたのか」

「当たり前よ。誰かが回収しなくちゃ、また悪いヤツの手に渡ったら危ないし。第一、これは外をうろついちゃあ駄目なのさ」

「ふぅん」

 アリスは石を夕日に照らした。黒い魔法石は、不気味な紫色に輝く。

「それに、この子の話もしなくちゃねぇ。あぁ、久々に面倒なことになりそうだ」

 物置から箒を取り出すアリスを、クロスはじっと見ていた。