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Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.34 )
日時: 2010/01/28 20:18
名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)



七話——様々な魔術


「アリスー!ソラー!んで、ルリちゃーん!」

 元気な声がしたと思って、アリスが振り向くと、両手にケーキの乗った皿やクレープ、パフェを持ったセレサがいた。

「ほらぁ。三人のぶんも持ってきたから、一緒に食べよう!」

 さっきまでしんみりとした空気だったテーブルを、一瞬で明るくしてしまう。これはセレサの特技だが、言い換えればKYでもある。

「わぁーい、ケーキだ、ケーキ!」

 ルリも喜んでいるし、今回はセレサの出現をありがたく思う二人だった。

 四人でおいしく食べていると、ルリがセレサに聞いた。

「ねー、ねー。お姉ちゃんも、魔女なの?」

「そうだよぅ。華の妖術使いのセレサ。よろしくっ!」

 セレサが、ニヤッと魔女っぽく笑う。

「花の〜?」

「そう、花の。見ててね」

 そう言うとセレサは、どこからか出した杖を横に振った。キラキラと輝くように、花が舞い散る。

「うわぁ〜、すごーい、おばさん!」

「おばさん……?」

 途端にセレサが顔をしかめる。

「お、お姉さんだよね、ルリ」

 アリスが慌てて訂正した。

「そうだね、お姉さん!もっと見せて!」

「よろしい」

 いつもみんなに甘えてばかりのセレサが、ルリの前だとお姉さんっぽくしているのを見て、アリスはプッと噴き出した。

 セレサの魔法は、女の子などには一番好かれる魔法かもしれない。女の子が好きそうな花などを見せるからだ。でも、そうやって相手を惑わしているすきに敵を殺す、というのが本来の使い道だ。

「ねぇねぇ!ソラおおねえちゃんは、何が出来るの?」

 セレサの妖術を見終わったルリは、ソラの元へ駆け寄った。途端、ソラがその好奇心に満ち溢れた紅い瞳から目をそらす。

「え、えぇ〜。私は、その……」

 ソラの魔術は、こういうときにやっかいだ。すぐにパッと使えるものではないからだ。

「こ、今度見せてあげるよ」

 ぎこちなくルリに笑ってみせるソラ。運よくルリはそれで諦めてくれた。

 そして、ルリはついにアリスのところへやってきた。

「ずっと気になってたんだけど……アリスはどんな魔法が使えるの?アリスが魔法を使ってるところ、少し見たけど、セレサおねえちゃんみたいな魔法は出来ないの?」

(なぜに……あたしだけ呼び捨て?)

 心の中でつぶやく。

「あたしの魔法は、いつか見せてあげるから、その時までおあずけ」

「えーっ。つまんなーい」

 プクーっとルリはふてくされ、どこかへ走ってしまう。

「アリス、まだあの魔法を使うつもりはないの?」

 ソラがルリが消えるのを待ってから言った。

「ない。あの魔術はもう、封印したんだ」

「そう……」

 ソラが、寂しそうに言った。