PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.4 )
- 日時: 2010/01/27 23:32
- 名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)
第一章——紅い瞳の少女——
一話——魔女の朝
アリスは今日、起きたときから嫌な予感がしていた。
(気分悪い……)
空もどんよりと曇っていて、気分が優れず、簡単に朝食を済ませ、新聞を広げた。ヴィルラの村近辺に盗賊がうろついていて、軍が探しに行っているだの、あたしには関係ないと新聞をテーブルに置いた。
朝の日課として、毎日小さな庭に咲いている花に水をやるのだが、それさえも面倒になった。
こういうときは紅茶を飲もうと、ソファに座ったまま、空中で指を軽く動かし、戸棚のベルガモットを出した。ベルガモットは独りでに動き、コップの中に入る。
「一、二……三!」
と数え、コップを引き寄せる。湯気の立つ、いい香りをした紅茶がもうそこにはあった。
そして一口飲む。体が温まり、気分もよくなる。
「おいしい……」
そう呟いたときだ。家の表にあるお店のドアが乱暴に開いた。ベルがリンリン鳴る。
(珍しい……お客かな?)
コップを持って、ウキウキしながら店に出ると、赤い瞳をした少女が、ゼエゼエ喘ぎながら立っていた。この瞬間に、アリスの心が冷める。
(なんだ……ガキか……)
それならあたしの仕事はないかな、と近くのイスに座り、また紅茶を一口飲んだ。ちょうど、紅茶がのどを通ろうとしたときだ。少女が息絶え絶えに叫んだ。
「私……を……弟子にしてくださいっ!」
紅茶が逆流するのを、アリスは身をもって感じた。
PR