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Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.44 )
日時: 2010/02/28 01:16
名前: 白魔女 (ID: Eda/8EBL)



二話——魔女の会話


「はぁ」

 アリスは短くため息をついた。

「はぁ……」

 ルリに魔術を見せているセレサとリンを見て、もう一回ため息をつく。

「はぁ」

 アリスの隣でクロスが同じようにため息をついた。その目線の先には、セレサの使い魔の白兎と、リンの使い魔である子パンダがいる。

「はぁ……」

「はぁ……」

 そして、二人同時にため息をつく。

「何よ、アリス。さっきからため息が多いわ」

「そうだよぅ。アリスが来てって言うからぁ」

 二人がアリスの元へ歩み寄ってきて、言った。

「そりゃ、誰でもため息つきたくなるわよ。夜遅かったのに、こんな朝早くに起こされて、朝食まで作らされて……」

「そのわりには、あんまりおいしくなかったけどね」

「そうねぇ」

 二人に言われて、アリスはげんなりした。

「クロス君も、元気ないねぇ」

 白うさぎシロネのがクロスに言う。隣で子パンダのシャウシャウもニコニコしながら、

「そうアルヨ。元気出しなってバ」

 というが、クロスはその笑顔が気に入らないんだ、と心の奥で呟いた。

「アリスー!リンおねえちゃんの魔術も凄いんだよーっ!」

「ルリちゃん。魔術じゃなくて妖術よ」

 昨日までここに来るのを嫌がっていたリンが、今ではすっかりルリと仲良くやってるのを見ると、あまり気持ちのいいものではなかった。

「あれ……でも、リンってどんな妖術使うんだっけ」

「失敬ね。忘れたのぉ?例えばそうね。こういうことも出来るわよ」

 そう言うと、テーブルに突っ伏していたアリスの体をツタが巻き付いてきた。

 くねくねと蛇のようにのた打ち回るツタは、あっという間に体中に張り巡らされる。

「ぎゃっ」

「この状態で、操り人形みたいに出来るけど……」
 リンが自慢げにそういった時だ。ツタが光ったかと思うと、気がついた時にはツタは跡形もなく消えていた。

「……って、やっぱりアリスに魔術では勝てないわね……」

「ふふん。勝手に友達の体で遊ぼうとするからよ」

 その様子を、ルリが不思議そうに見つめていた。

「今、何が起きたの?」

 小声でセレサに訊く。

「うん。アリスがリンのツタに魔力を流したのよ。普通の魔女じゃ、出来ないけどね」

「ふうん。アリスって凄いんだぁ」

 他人事のようにルリが呟いた。