ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達(コメ、お待ちしております ( No.54 )
日時: 2010/03/04 21:25
名前: 白魔女 (ID: Eda/8EBL)



七話——キーツの狙い


 クロスはその頃、館で男の行動を見ながら頭をフル回転させていた。

(男の目的は、やはり“紅い瞳”か……?ならば男は今、何をしようとしている?)

 その時だった。ずっとしゃがんでいた男は、不意にすくっと立ち上がり、ルリの元へ寄った。その足元には、やはり魔法陣が描かれていた。

「さあ……君の出番だ。そして、ようやく僕の望みが叶う時……」

 キーツはルリを、柱から手を縛った状態ではずし、その魔法陣の中央に置いた。

(嫌な予感がする——今すぐにでも、ルリを助けないとっ!)

 クロスは、キーツに突進した。キーツがよろめく。

「猫っ……!?」

 そしてクロスは人間の姿になり、キーツに魔術をかけた。床から蛇がうねうねと出てきて、キーツの体に巻きつく。

「くっ……。貴様、悪魔か!?いつの間に……っうぐっ」

 蛇がより強く巻きつく。

「黙れ。黒魔術師め。黒魔術などに頼る者など、口もききたくない」

 クロスはルリの縄を解こうと、ルリに近づく。すると、耳をふさぎたくなるような大きな音が、館に響いた。

「くはっ……」

 クロスだけが集中的に雷に撃たれたのだ。痙攣しながら、床に倒れる。

「クロス〜っ!」

 ルリが再びジタバタするが、キーツはなぜか蛇の縄から解放されて、立っていた。

「ふっ……僕も悪魔は嫌いなんでね。馬鹿な悪魔だ。貴様も悪魔ならここがどこだか知っているだろう?ここは“魔法陣の館”。どこもかしこに魔法陣が貴様らを狙っていることを、忘れるとは……。
それに、僕に魔術をかけても無駄だぞ?魔法陣以外の魔術は、すべて無効化される」

「くっ……」

 クロスは必死に立とうともがいたが、電気ショックのおかげで上手く動かない。

「ふはははっ、無様だな、悪魔よ!

 それにしても……冷酷な悪魔が助けに来るほど、この娘の価値は大きいというわけか……。なるほど気に入った。やはりこの娘の“紅い瞳”、僕がもらい受けよう!」

「貴様は一体……何を、しようとしている……!?」

 クロスは必死な思いで言葉を発した。が、キーツがあざ笑う。

「見てわからぬか!これは儀式よ儀式。これは僕が生涯をかけて作り出した、紅い瞳を取り除く魔法陣!」

 狂気としか思えない発言と、高笑いするキーツをみて、クロスはぞっとした。