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Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達(コメ、お待ちしております ( No.57 )
日時: 2010/03/05 19:52
名前: 白魔女 (ID: Eda/8EBL)



八話——いざ、“魔法陣の館”


「わかった!」

 アリスが言うが、セレサ達は一瞬何の事かわからなかった。

「あぁ、魔法陣の解読ね……」

「そういえば、してたんだっけ……」

 ずっと待ち続けていたセレサとリンは、その事を忘れてお茶をしていたのだ。

 アリスは二人の飲んでいた紅茶をがぶ飲みし、そこにあったクッキーを一枚食べて、言い放った。

「行くよ!」



「ねえ、アリス。あたし達も魔法陣でそこに行けないの?」

 箒に乗りながら、セレサは訊いた。

「無理。こっそり行くなら箒のほうがいいし」

「でも、遠いんでしょ? 今まででもかなり時間食ってるし。早く行かないと、ルリちゃん危ないわよ」

「大丈夫。クロスがついてるし」

 ニッコリ笑ってアリスが言うと、リンはため息をついた。

「そんなテキトーでいいのかしら。あたし、知らないからね」

「そうアルヨ〜」

 一緒についてきたシャウシャウまで、そう言う。

「へいへい、どーぞ」

 アリスはそう答えてから、ふと二人に訊いた。

「ところで二人とも……箒、派手だね」

「え?そうかなぁ?」

「そうかしら」

 二人ともとぼけたが、アリスの箒に比べれば、かなりデコレーションがされてある。

 セレサの箒には、花柄がついてあり、まっピンクにコーティングされてある。リンの箒は、赤く、ドラゴンの絵が描かれていた。箒の先には、鈴がついている。そんな二人に挟まれているアリスの箒は、普通の茶色の箒だった。

「箒のデコレーションは、最近流行っているのよ?知らないの?あたしのより派手な子はいくらでもいるし、これが普通よ」

「それで普通なら、あたしの一体どうなのよ……」

「う〜ん。一言で言えば、“遅れてる”ってとこかなぁ?」

 最近の若者にはついて行けん……そうぼやくアリスだった。

「あ、あれじゃない?」

 シロネがそう言った。シロネが指差すところには、崩れかけた建物がある。

「あれって、“魔法陣の館”じゃない?噂で聞いたことがあるけど……」

「何それ、リン」

 そう言いながら、アリスはやっぱり自分は遅れているんだと悟った。

「館の外にも中にも、あっちこっちに魔法陣があるのよ。それも、黒魔法陣。男が一人、住んでいるって話だけど。でも、あそこにルリちゃんがいるなんて、マズいわね」

「何がマズいのぉ?」

「黒魔法陣をつかうってことは、黒魔術師よ。黒魔術は、人を苦しめたりするためだけにある魔術。とっても強力な魔術だけど、相手に攻撃した分、自分にもダメージが加わるの。そんな魔術を使うヤツは、だいたい頭がいかれてるらしいわ」

「あぁ、そういうこと……」

 アリスが思い出したかのように言った。

「ねえ、あの館、なんか光ってない?」

「え?」

 見ると、館の中央が、不気味な光りに包まれている。

「嫌な予感がする。早く行こう」