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Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.58 )
日時: 2010/03/07 15:35
名前: 白魔女 (ID: aAyW2lUS)



九話——危機一髪


「貴様——一体、ルリをどうするつもりだ!?」

 クロスが、床に突っ伏しならが叫んだ。それを、キーツはあざ笑う。

「見ての通り、この娘の紅い瞳を取り出し、僕の瞳と交換する。まあ、小娘の命の保障はないがな?」

「くっ……」

「それにしても、あの魔女何を考えているのかわからん。なぜこんな小娘に、紅い瞳を授けたのだろう?」

「お前が知ったところで、どうなることでもない」

 クロスのセリフに、キーツが目を細める。

「まあ、いい。まずお前を片付けるとするか……」

 クロスがハッとすると、いつの間にか、体が動かなくなっていた。床に仰向けのまま、動けない。すると、キーツは魔法陣から剣を取り出し、それをクロスにむけた。

「さらばだ、悪魔——!!」

「キャ————っ!!」

 剣がクロスの喉を突き刺す瞬間、館の天井から悲鳴をあげてアリスたちが突っ込んできた。

「何するのよぉ、アリス!」

「だって、早く行こうと思ったのに、リンがこっちを向くんだもん!」

「あたしのせいにしなでよね!?」

 危機一髪だったが、クロスはあまり、“助けてもらった”という感じはしなかった。

 そうこうしているうちに、いきなり剣がアリスたちの頬を掠めた。

「ふっ、魔女か。悪魔の次に魔女とは、ますますこの小娘の瞳の価値が気になるな」

「アリス〜!」

 縄で縛られているルリと、弱りきっているクロス、そして不気味な男を見て、アリスたちは状況を悟った。

「お前が、ルリをさらったのか」

「ああ、そうさ。まあ、こんな小娘どうでもいい。僕はただ、この紅い瞳がほしいだけ」

「コイツ……」

 リンが、手からツタの刃を出し、キーツに切りかかる。が、その刃はもろくもすぐに崩れてしまった。

「なっ……」

「無駄だ。この館では、魔法陣以外の魔術は使えない……!」

 黒猫の姿に戻ったクロスが忠告した。すると、アリスがニヤッと笑う。

「へぇ。面白いじゃないの。そっちが魔法陣を使うなら、こっちだって、魔法陣をつかってやる!」