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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 呪われた瞳と愉快な魔女達 ( No.70 )
- 日時: 2010/03/27 12:07
- 名前: 白魔女 (ID: N1KBaRht)
十一話——闇の使者
「くっくっく……これで誰も動けまい?もう僕の邪魔は出来ないのだよ!」
そう言うと、ルリをまた巨大な魔法陣の中央に移動させる。ルリはもがくが、キーツは御構い無しに、両手を魔法陣の上につけた。
「闇の使者よ……我が願い、叶えよ!」
それを合図に、魔法陣は、黒く輝く。
「今のは、呪文?」
アリスが呟くと、クロスが答えた。
「大規模な黒魔術を使うときには、必ず唱える魔術だ。しかし、そのぶん代償は大きいはず……」
すると、魔法陣の上の天井に、黒い影がいた。そいつはカッと笑うと、こう言った。
「そなたの願い……聞き入れたし……!」
「ヤバイ!闇の使者だっ!」
クロスが叫ぶ。闇の使者はその影からぬっと姿を現した。そして、天井からゆっくりと魔法陣の上に舞い降り、ルリの前に立つ。
闇の使者は、“闇”そのモノだった。影がそのまま浮き出たようだ。真っ黒い体をしていて、服も着ていない。時折、ロウソクのように体が歪み、形は人の形だが、手の爪が異様に伸びている。目も鼻もない顔だが、口は耳まで裂けていた。
「闇の使者は、黒魔術で呼び出し、契約をする。そして、その契約を破ることは絶対にしない」
「契約って、ルリの瞳を取るってこと!?」
クロスの言葉に、アリスが慌てる。が、アリスが足掻けばあがくほど、腕に刺さった剣は肉を裂く。
闇の使者は、ルリの横で跪くと、長い爪の手で、何かをおびき寄せるような仕草をした。すると、ルリが悲鳴をあげる。
「いやぁ————っ!!瞳が、熱い——っ!!」
闇の使者は、その行動をやめることなく、続けた。指を曲げ、伸ばし、を続けている。その様子を、キーツはさも嬉しそうに、笑みを浮かべていた。
「ルリ—————っ!!」
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