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第四章——紅い魔法石の秘密——


一話——ルリの悪夢


　“紅い魔女”。

　私の家族を、村の人を、全員焼き殺してしまった悪い魔女。赤い炎の中で逃げ惑い、その最中で見た、焦げてゆく人達、母が私に向けた最期の眼差し。その光景を、私はこの紅い瞳の中に閉じ込めている。思い出しただけでも狂ってしまいそうだったから。

　そう、すべてはあの魔女のせい。紅い、魔女のせい。この呪われた瞳も、その魔女からもらったものだ。

　赤く揺らめく炎の中で、私を庇おうとしている母を殺し、紅いマントをなびかせて私に微笑みかけたあの魔女。


「……良い瞳をしている……殺意と憎悪しかない瞳は本当に美しい……」


　遠のく意識の中で、紅い魔女はそう言った。そしてその刹那、紅い瞳に衝撃が走る。

　そして、最後に見た魔女の姿。あれ——この顔——どこかで——……。