ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.13 )
- 日時: 2009/07/24 15:42
- 名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)
わたしは、机に向かって勉強しようとしていた。
その時!
「♪〜この声が今も響いている〜♪」
あっ……電話だ……。
わたしはケータイを取る。
「もしもし?」
『あっ? 海晴? わたしわたし! 春だよ〜。』
友達の春だ。
「何? どうしたの?」
『一緒に遊びに行かない? これから。』
「これからぁ〜?」
『これから。今、玄関前にいるんだけど。』
「えっ!」
わたしは慌ててカーテンを開けて外を見る。
『ねっ?』
そういって、にこやかに手を振る春。
『あっ! そっかぁ〜……海晴はトップ3位を守るためにお勉強かぁ〜……なら仕方がないな。」
そういって、電話を切ろうとする。
「あっ! ちょっと待ってよ!」
わたしは慌てて言う。
『何?』
「行くよ!大丈夫。まだ日にちはあるんだし。行こう!」
『へぇー……ガリ勉にしてはノリいいわね。』
「ガリ勉じゃねぇーってのぉ!」
そして、わたしはケータイを切り、そのままかばんを持って玄関に直行した。
大丈夫……。まだ日にちはあるんだし。悪くても、トップ3位は守れる。
そう思い、わたしは玄関の扉を開けてしまいました……。
思えば……あの時、玄関の扉を開けずにそのまま部屋で勉強をしていたら……こんなことに ならなかったかもしれません……。
だけど……それがよい行動かは……判断できません……。
「ねぇー……次どこ行く?」
「ゲーセンも行ったし、プリも撮ったし、映画も行ったし……どこ行く?」
「それを、聞いてるんでしょ! 春、ふざけてるでしょ!」
「あはははははははは!」
豪快に笑う春。
そのたびに、長い綺麗な髪が揺れる。
「もう……。」
わたしたちは、ガヤガヤとしている街を歩いている。
まだ夕陽になっていない……まだ明るい。
電柱が端にひっそりと立ち、車がビュンビュンと通り過ぎ、いろんな人ともすれ違う。
「そういえば……そろそろ帰らなくていいの? ガリ勉さん。」
春が言った言葉で、わたしは口をどんどん開いていく。
そして、その口から出た言葉は……。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
わたしの大絶叫に、驚く春。
「そういえば! お母さんに言ってなかった!」
「てか、まず『ガリ勉』って言ったことをツッコんでよ。」
「今、そんなこと言ってる場合じゃない!」
その時! プルルルルルルルルル……。
ケータイが鳴った……。
お母さんだぁ!
わたしは急いでケータイを取り、耳に当てる。
「もしもし?」