ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.15 )
日時: 2009/07/24 15:57
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

『…………。』
返事がない……お母さんじゃない?
「もしもし?」
『…………。』
……何この無言。嫌がらせ?

「もしも——。」
『みーーーーーはーーーーーーるーーー!!!!』
この言葉の続きは、ケータイから聞こえてくる大音響でさえぎられた。
……やっぱりお母さんだったか……。

「今、どこでなにやってるの! 早く家に帰って勉強しなさい!3位以下になったら許さない わよ!」
わたしはケータイからちょっと耳を遠ざける。
「大体、海晴は——。」
『ブチッ……ツーツーツーツー』

わたしは一方的に電源を切った。
「あの声は、そーとー怒ってるわね。」
春が横で言う。やっぱり横にいる春にくっきり聞かれてたんだ……。
「……聞こえてた?」

「わたしんとこで、すんごくハッキリ聞こえたから周りはちょっと聞こえてるんじゃない?」
春が冷静に言う。
そして、映画館で勝ってきた棒のあめを口にくわえる。

「はぁ〜……なんでこんな恥ずかしいことさせるの!?」
「あなたに自業自得という言葉を教えてあげるわ。」
「…………。」
たぶん今、春をすごい形相でにらんでるんだろうな……。
「早く家に帰った方がいいんじゃない?」
「……そうする。」
そして、わたしは全力疾走で家目指して駆け出して行った……。

「ガリ勉さんは大変ね……。」
春が一人ポツンと言った……。

「ハァハァハァハァ……。」
本日二回目の滑り込み。だけど、わたしの目の前にいたのは……。
「ただハァハァハァハァ……いまハァハァハァハァ……。」

わたしが息絶え絶えに言った瞬間!
「今までどこに行ってたの!」
そーら、キタ! これから小言の嵐だ。
「もう! あんたって子は! なんでそうフラフラと家出て行ってはこんなに帰るのが遅い の!? もう……3位以下になったら承知しないよ! 大体あんたは…………」

これから、お母さんの小言をずっと聞きっぱなし……。
こんなことになるんだったら出て行くんじゃなかった……。

わたしはとうとう、しびれをきらし、
「わぁーったよ! もうしないし、勉強に励むから。」
そういって、無理やり席をたとうとする。
「ちょっと待ちなさい! まだ話は——。」
「もう充分聞きました。ちょっとずつちょっとずつ本題がそれてる話をね。」
そういって、わたしは階段を上り、部屋に行った。

なんなのよ! お母さん!
わたしは、ベットに体を預ける。
頑張ったんだから、ちょっとくらい息抜きしてもいいじゃん……。

そして、仰向けになる。
「はぁ〜……。」
わたしはそのまま深い深い眠りに落ちていってしまった……。