ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.22 )
日時: 2009/07/24 19:17
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

ちなみに、クロロホルムでお前を眠らせたのは俺だ。」
そして、自信満々に自分を指さす楠先輩。
クロロホルム……クロロホルムとは、ハンカチにしみこませ口と鼻にしみこませると眠って しまうという薬物……。

こんなマンガみたいな展開が本当にあったなんて……。
てか、なんでそんなものを高校生が持ってるの!?
そもそも、電脳探偵部って何!
「電脳探偵部……? なんですか、それ。」

わたしは思っていたこと、ありのまま聞く。
「電脳探偵部っていうのは、バグをデリートする部よ。」
バグをデリート……。
バグは機会用語で、異物のこと。ウィルスみたいなもの。

デリートは機会用語で「消去」……。
バグ(異物)をデリート(消去)する部? わけわかんない……。
「バグは咎人。咎人は犯罪ややってはいけないことを犯した人。デリートは消去。つまり、 この部は、バグ(咎人)をデリート(消去)する部。あなたの周りに咎人がいることわからないの?」

咎人……? わたしの周りに犯した人なんていない。
「君……前に学年3位だったよね……そして、その次は10位、今が6位……。」
瓜杉先輩が口を開く。
わたしは、その言葉で本来の用事を思い出す。

「そうです。それより——用事があるんで簡潔にお願いします。」
わたしが言った瞬間に、覆いかぶさるように言ってきたのは……、
「まぁ、そんな焦んなよ。時間はたっぷりとある。お前、この前遅れてきたから早く来過ぎて 30分前だぞ。」
楠先輩……。

「……どうしてそれを……。」
そして、ニヤッと笑う。
わたしは首筋の毛が逆立った……。
この部は……一体……。
「………………。」
わたしが何も言わないでいると、桜先輩が口を開いた。

「怖がらなくてもいいわ。わたしたちはあなたを救いだそうとしているのよ。」
「救い出そうとしている?」
わたしの頭の上に「?」が飛び交う。
「中間テスト……3位……。」

曇先輩の言葉でわたしが反応する。
「期末テスト……2位……。」
あれ?
「課題テスト……1位……。」

……わたしの成績じゃないみたい……だって、わたしは……。
「これが本来の君の成績だ。」
「えっ!」
わたしはその言葉で、絶句する。
だって……わたしの成績は……。

「これ、どーゆーことかわかる?」
桜先輩がいたずらっぽい笑みを浮かべて聞いてくる。
「偽り……。」
わたしがつぶやくと、大きく首を縦に振る。

「そう……何者かがあなたの成績を邪魔したのよ。本来の成績を偽りにし、返した。」
う……そ……。

「それじゃぁ……本当は、下がってなかったの?」
「あなたの成績はうなぎのぼりだった……あなたは、偽りの事実を見せられていたのよ。」
なによ……それ……。

わたしがどれだけ挫折したと思ってるの……佐藤先生にも怒られたのに……。
「それ、誰ですか?」
「えっ?」

「誰がやったんですか……。」
わたしが低い声で言う。
「……知りたい?」
桜先輩がクスッと笑う。
「知りたいです。」