ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.25 )
日時: 2009/07/24 21:46
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

「……条件?」
わたしが曇先輩に向かって言う。
動きは静止状態のまま。
「我、電脳探偵部に入部させる!」
「……へ?」

たぶん……今、わたしものすっごく間抜けな顔してるんだろうな……。
「なんで……わたしが……。」
「だってあなたは、かたちがどーであれ、入部するのよ……どうせ。」
雨雲先輩が言う。

「うそ……。」
「だって……わたしの占いに出てるんですもの……。」
そして、わたしに何かを投げる。
それを、わたしはキャッチする。……なかなかうまくキャッチできたと思う。

まぁ、今はそんなこと考えてる場合じゃない。

わたしはキャッチしたものを見る。
それは、一枚のカードだった。
「女神……?」
そのカードに描かれていたものは、天使の羽を生やし、ハープ(横バー ジョンの琴みたいな感じ)を持った女神だった……。

「それは、いいことの象徴。占いの結果によると、わたしたちに女神が 訪れるんだって。それがあなただったってわけ。いい?」
よくなぁーい! なんでわたしが女神なのよ!

「言っとくけど……雨雲の占いは確実と言っていいほど当たるぜ。」
うっ……。そんなこと言われたって……。
それに、わたしはこの部活に入ろうと思って依頼したんじゃない!
てか、依頼なんかしてないし、無理やり依頼されたし!

第一、こんな変な部活なんかに入りたくない! 勝手にわたしの成績 調べたり、昨日の佐藤先生のあのことも見られてるみたいだし!
なんで、こーんな怪しい部活に入らなくちゃならないの!

「わたしは入りません!」
「いいのぉ〜?」
わたしの耳元で雨雲先輩の声がする。
「ひゃっ!」
わたしは慌てて後ろを向く。
そして、クスッと笑う雨雲先輩。

絶対この人わたしのこと遊んでる……。
「この部活に入らないということは、斎藤と佐藤をデリート出来ないのと同じなのよ。」
うっ……。
「それでもいいのなら、断りなさい。だけど……少しでもデリートしたいのなら……この部活に入ってもらうわ。」

雨雲先輩がいたずらな笑みを浮かべてわたしに言う。
「選択肢は二つ。」
後ろの方で声がする。この声は空雷先輩だ。
「一つはこの部に入り、デリートするか——。二つは部に入らず、依頼も却下されるか——。保留はなしだ。」

そして、高々とチョキのポーズをとる。
「さて——、どうする?」
曇先輩がニヤッと笑いながら言う。
……この三人、絶対わたしのこと遊んでる!

「フゥゥゥゥゥゥ……。」
わたしはゆっくり深呼吸する。
「その占いにはどうせ入るんだし、それなら、利益のある入り方の方がいい! それに……わたしだって斎藤と佐藤をデリート したい!」

「よし! よく言ったぞ、お前!」
「よろしくね、柳川さん……いや、海晴ちゃん。」
空雷先輩と雨雲先輩が言う。
そして、わたしの目の前にサッと書類が出される。

「ここにサイン。」
曇先輩がそっけなく言う。
「……はい。」
わたしは「柳川海晴」と、その書類にサインしてしまった……。

そして、高々と書類を上にあげる曇先輩。
「よし! 柳川海晴、1年と楠空雷3年と桜雨雲、3年と瓜杉曇2年で、 電脳探偵部、誕生だ!」

思えば、わたしは……この書類にサインしてしまったこと、部に入るとこと言ってしまったことに……とっても後悔しています……。
あの時は……まだまだ無知でした……。