ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.28 )
日時: 2009/07/25 12:57
名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)

わたしは、電脳探偵部に入部した後、1時間の説教を佐藤から聞かされたが、もうすぐでデリートできるという喜びで我慢できた。
その後、電脳探偵部のみんなたちは帰り、明日にまた作戦会議を開くことになった。

満月がわたしの窓からのぞいている……。
ゆっくりと雲が流れ、暑苦しい夜が始まる。
「電脳探偵部……。」
わたしは声に出してみる。
しかし——、何か起こるわけもなく……。
当り前か……。

わたしはベッドのまくらに、顔を押し付けた。
そして、深い深い眠りの底へ、引きづり込まれていった……。

キーンコーンカーンコーン……。
ガヤガヤとうるさい教室……。チャイムの音よりでかいみんなの声。
わたしは授業中とちっとも変っていない、教室から出て行き、みんなとは反対方向の左に行く。

なっ! なんでこんな重いの……!?
わたしはちょっと困惑しながらも、電脳探偵部の重たい扉を開けた……。

いつものように、ほこりっぽい……。
暗いし……いつもの山積みはあるし……てか、山積みだけど……なんかガラクタみたい……。
うん! 今度から「ガラクタ山」と言おう!

「こんにち——」
「遅い!」
わたしはいきなり飛んできた声にびっくりして、硬直になる。
「空雷。初めて来た新入生にそんな言葉はないでしょ? 入ってきていいわよ、海晴ちゃん。」

わたしは雨雲先輩の言葉で動き出す。
「ちぇっ……。後輩は俺らより先に来るのが礼儀だろ……。」
「ぶつぶつ言わない!」

空雷先輩の言葉を雨雲先輩がたしなめる。
首をすくませる空雷先輩。
空雷先輩と雨雲先輩はガラクタ山の頂上にいた。
そして、雑談している。

なんか、親子みたい……。
「先輩たち……あと柳川。」
わたしたちは、声のする方を一斉に向く。
そこには、デスクに座ってパソコンを開いている曇先輩だった……。

「……いつまで遊んでるんですか? 部活動に移りますよ。」
冷静な声で言う曇先輩。
サラサラの髪が左右に揺れる。
「ということは——……。何かいい計画立てたのね?」

そういって、空雷先輩と雨雲先輩はガラクタ山からおりて、デスクに集まる。
わたしも急いで先輩たちの後を追う。
そして、パソコンの画面に目を落とした。

そこには——……。
佐藤先生と斎藤先生のプロフィールらしきものが映っていた。
「これは?」
わたしの質問に曇先輩が答える。

「これは、斎藤と佐藤の解析データだ。そこで——……。」
佐藤のところにマウスを置き、クリックする。
そして、「趣味」のところをクリックし、そこに「賭け事」とあった。

「この賭け事は、ちょっと危ない内容をするらしい。それに斎藤も混じってやっている。それを証拠にし、警察に突き出せばあとは警察が全部やってくれるさ。」

「でも、それじゃぁ「賭け事」の咎人として逮捕されるじゃない。これじゃぁ、学校のことには触れないことになるのよ?」

雨雲先輩が言う。
もっともだ。だって、わたしが依頼した理由は、テストのことだもん。
「警察は、怪しいやつを捕まえたら全部調べるんだ。そしたら、どんどん斎藤と佐藤のやったことがばれるさ。この事件以外のことに関してもな。」

「それじゃぁ……あたしたちはどうすればいいの?」
へ? あたしたち?
「ちょっと待って! あたしたちって……わたしも入るの?」

この言葉を言った瞬間、みんなの動きが止まる。そして、ゆっくりと顔を上げわたしの瞳を見つめ、一言——、
「当り前じゃん。」
当り前なのか……。