ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 電脳探偵部に入ったワケ ( No.30 )
- 日時: 2009/07/25 16:58
- 名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)
「俺は? 俺は何すればいいだよ?」
そして、逃げるようにデスクに帰ってくる空雷先輩。
「空雷先輩はあいつらが暴れた時に押さえてくればいい」
「えぇー! それだけかよ!」
「それくらいの仕事しかあんたはできないでしょ! ケンカに能のないやつが。」
「あぁー! 言ったな、お前!」
「わたしは事実を言ったまでよ!」
鼻をならす雨雲先輩。
「お前は——」
曇先輩がいすから立ち上がり、空雷先輩の言葉をさえぎる。
「うるさいっ!」
……曇先輩の言葉でシンとなる。
「何度も同じことを言わせないでください。」
そして、またいすに座り、画面を見る曇先輩。
シンとするこの場。曇先輩のキーを叩く音だけが聞こえる。
……空気変えなくちゃ。
「わっ……わたしの仕事は?」
わたしは平常心を保ちながら言う。
「柳川の仕事は、被害にあったという証言をしてくれ。それだけでいい。」
「わかった。」
わたしは真剣な顔で言った。
こうやって、自分の任務があると電脳探偵部の一員なんだな……。
「緊張する……。」
雨雲先輩は、わたしのつぶやき声を聞き逃さなかった。
「緊張するの?」
そして、わたしの目をとらえる。
「いい? 失敗は許されない。だって——……これはあなたの初めての任務であり、初めての
依頼。自分の依頼を失敗させるんじゃないわよ。わたしたちも、一緒にあなたと戦うから。頑張って。」
雨雲先輩が微笑む。
「頑張れよ。気が済むまで暴れろ!」
「暴れないように頑張ってください。暴れたら失敗するので。」
「こら、曇! それ俺の言ったことを否定してるようなもんだぞ!」
「ええ。否定しています。」
「なんだと、こらー!」
「はいはいはいはい! そんなに暴れないの! ようやく感動的なシーンになるのに、なんでこー変な感じになっちゃうの!?」
そして、グワシッ!と空雷先輩の襟首を掴む。
「俺は犬じゃねぇー!」
「黙らっしゃい!」
「……チッ。」
「舌打ちしないで。」
「……………。」
……なんでこんなに先輩たちはやかましーの……。
ため息が出るのをグッと我慢するわたし。
「変なタイミングで申し訳ありませんが、一つ忠告しておきたいことがあります。」
曇先輩の言葉で全員の緊張する。
「今回のデリートは依頼主が実行です。失敗はないように。そして——、雨雲先輩。」
「はいっ!」
雨雲先輩が凛とした返事をする。
「新入生がいます。実行では一つの失敗が大変なことになります。気を付けて引っ張って行
ってあげてください。」