ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: —バグ、消去します— ( No.42 )
日時: 2009/07/26 10:40
名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)

「さぁ、隠れましょう。もうすぐで来るわ。」
雨雲先輩が言う。
「そうだね。それじゃぁ、わたしたちはこのカーテンのところに隠れてるね。」
そういって、わたしは扉に敷かれているカーテンのところに隠れる。

その時!
キィィィィィ……。
大きな扉が不気味な音を立てて開く。
開いたドアの細いところから二人の長い影が見える。

バタンッ!
大きな音を立てて扉が閉まり、靴の音が鳴り響く。
その靴の音の発生場所を見るとそこには……。
「斎藤と佐藤……。」
わたしはつぶやく。
彼らは、曇先輩の送った手紙、「いい賭けごとがある、この場所に来てくれ」というような内容に、
ここに来たんだ。
斎藤と佐藤は真ん中へ行く。

そこには——……。
小さなテーブルがあり、その上に乗っているのは、雨雲先輩。
雨雲先輩だけど……違う。
「とっても綺麗……雨雲先輩。」
わたしは雨雲先輩に目を奪われる。
いつものポニーテールをはずし、髪をおろして、メガネをはずしている。

それだけでも、ちょっとうっとりするくらい綺麗。
それに、幻想的な紫色の丈が長いスカートにキャミソールの上に紫色のショールを羽織っている。
だから全身紫。それが炎の明かりに照らされてすごく綺麗になってる……。

「雨雲先輩……長身だし、スタイルいいし、顔も綺麗だし……いいよねぇ〜……。」
まるで、女のわたしでも恋してしまいそう……。
「あなたが斎藤様と佐藤様?」
大人の女性の声で話す雨雲先輩。
どこからどう見ても、大人の女性だ。
まだ18歳とは思えない。

「そうです……。あなたは?」
佐藤が答える。
でも、先輩はニコッと笑ってそのままスルー。
あんな人に微笑まれたら誰だってドキッとするからスルーしたことに気づかない。

「お綺麗ですね。失礼ですが、何歳ですか?」
やばいっ! 年齢を聞かれた!
「クスッ。まだ19でございます。」
サバよんだぁぁぁぁぁ!
サバよんでもいいのか?
「ところで……ここに、ちょっと危ない賭けがあると聞いて来たんですが——。」

佐藤が言う。
「ええ。ここです。」
「それじゃぁ、あなたがは?」
斎藤の答えに雨雲先輩が答える。
「わたしはここの支配人です。あなたが今日の迷える人ですね?」
「ええ。」
「それでは、さっそく……。」

そういって、コップを二つ出す雨雲先輩。
「おい!」
誰かの声がする。
わたしは後ろに振り向いてみると、そこには空雷先輩がいた。

「ここから先、知らされてねぇーぞ!」
「わかってるよ! わたしだって知らない!」
そう……。ここからさきは雨雲先輩だけが見るようにと曇先輩から指示があったのでわたしたちは見てない。
ということは、ここからの展開がわからないのだ。

「アイツ……曇りのやつ、どーゆーつもりだ?」
「まぁ、気長に見てようよ。」
「チッ。」
そういって、曇先輩はどこかに行ってしまった。
「何するんだろう……雨雲先輩……。」
わたしたちは緊張に包まれた。