ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —バグ、消去します— ( No.44 )
- 日時: 2009/07/26 13:55
- 名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)
「ここに二つのカップがあります。」
そして、手をします雨雲先輩。
それは、普通の紙コップだった。
「この紙コップにお水を注ぎます。」
そして、やかんから出るお水を注ぐ雨雲先輩。
「おい!」
後ろから空雷先輩の声。
「なんでこんな雰囲気なのに紙コップとやかんなんだよ!」
「……たぶん経費削減だと思う。」
曇先輩って結構ケチね。
「で、賭けごととは何をするですか?」
佐藤先生が雨雲先輩に聞く。
「今からこのコップのどちらかをあなたたちとわたしで飲んでもらいます。しかし——、どちらかに毒が入っています。」
「えっ!?」
佐藤先生と斎藤先生が驚く。
「おい……マジかよ。」
ここでも空雷先輩が。
わたしは口をポカーンッと開けてる。
そんなの、高校生がやるような賭けじゃないでしょ!
曇先輩は何を考えて……。
それに! 承諾した雨雲先輩もおかしいわよ! ……この場合承諾しなければいけないけど。
「……本気で言ってるんですね?」
佐藤先生が言う。
「ええ。本気で言っています。あなたたちにこのような危ない賭けはしない方がいいかしらね?」
そして、ニコッと笑う雨雲先輩。
大人の女性が挑発したらこうなるんだろうな……。
「いいでしょう。受けて立ちますよ。」
そう言ったのは斎藤先生。
「ええ! いいでしょう!」
さすが生徒の点数で賭けごとをやったあの二人。
命亡くなってもいいのね。
「で、何を賭けるんですか?」
「わからないんですか? 命ですよ。」
「命!?」
斎藤先生と佐藤先生の声が重なる……あと空雷先輩とわたしの声も。
「命を賭けたって、なんの利益もありません。だからこうしましょう。この奥にはわたしのすべての財産があります。
「財産!?」
この声も雨雲先輩以外。
「わたしが負けたらわたしの財産をすべてあなたにあげます。しかし——」
ここでグッと佐藤先輩と斎藤先輩に迫る。
「あなたたちが負けたらあなたたちの財産をもらいます。」
「ちょっと待って下さい!」
これは斎藤先生ただ一人。
「あなたは二人の財産ですが、俺たちはあなた一人の財産を分けるわけですよ! それじゃぁ、こっちの方が不公平じゃないですか!」
斎藤先生の声がホールの中にこだまする。
「大丈夫です。この扉の先にあるのは——……。」
そういって、指を一本出す。
「百万円かよ!」
「二桁違います。」
雨雲先輩が二桁のところを強く言う。
「一億……。」
斎藤先生の言葉でニコッと笑う雨雲先輩。
……雨雲先輩のこと、明日から変な目で見そう……。
「それでいいですか?」
そして、脅えたような目で見る佐藤先生と斎藤先生。
そして、ゆっくりとうなずいた。
「それではどちらか選んでください。」
斎藤先生と佐藤先生が後ろを向き、相談してる。
「大変なことになったな……。」
空雷先輩が言う。
「そうだね……って! いつのまにいるんですか!」
「シーッ! 大きな声出すな!」
……空雷先輩が大声出してるともうけど。
「決めました。」
「それでは……選んでください。」