ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —バグ、消去します— ( No.45 )
- 日時: 2009/07/26 16:32
- 名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)
「…………。」
緊張の一瞬。
ドクンッ……ドクンッ……ドクンッ……。
心臓の鼓動が大きくなる。
心臓の鼓動が大きくなるにつれ、外に飛び出しそう……。
そして、斎藤たちは……コップを持った……。
「それでは、こっちがわたしの飲むものね。」
そういって、もう一つのコップを出す。
「それじゃぁ……『いっせーのーで』で飲みましょう。」
雨雲先輩が言う。
雨雲先輩……これはずしたら、死んじゃうんだよ……! なのに……なのになんであんなに平然でいられるの!?
「いっせーのーで!」
そう言って、一気にコップの中の水を飲み干す!
そして、毒のある方は……。
「どっちだ……!?」
……沈黙が過ぎる。
そして——……。
倒れたのは……。
「あっ……うぁっ……。」
斎藤たちだ……。
「クッ……アゥ……アァッッ……!」
「……うそ……。本当に死んじゃうの……!?」
わたしたちの鼓動がさらに大きくなる。
「雨雲! お前——」
その時!
雨雲先輩が指に人差し指を当て、シーッ!のポーズ。
「雨雲に曇……。お前ら何考えてんだ……。」
空雷先輩……。
斎藤たちが苦しんでる時に、驚きの一言を上げた。
「からいっ!」
……からい?
わたしはさっき発した言葉の意味がわからない。
カライ……?
「からいっ! これ毒じゃねぇーじゃねぇーかぁ!」
わたしはようやくこの一言がのみこめた。
「からいのかよぉ〜!」
わたしと空雷先輩は一緒に声を揃え、頭を抱える。
「からいんだったら、そんなリアクションすんなよぉ〜!」
そういって、「はぁ〜……。」とため息をつく空雷先輩。
「まぁ、これで賭けはわたしが勝ったわ。財産を——ということでしたが——……。」
えっ!?
「あなたたちは、罪を償ってもらいます。」
「罪を……償う?」
斎藤先生と佐藤先生の頭の上に「?」マークが飛び交う。
「海晴ちゃん! 最初の用を忘れちゃダメよ!」
雨雲先輩がわたしに言う。
そうだ……。わたしは、佐藤と斎藤に罪を償わせるんだ……。
「そうか! それでわたしの証言が必要なのね!」
わたしは曇先輩のやりたいことがよくわかり、カーテンから出て行く。
堂々と! 胸を張って!
わたしは……佐藤と斎藤をデリートする!
「この顔を覚えてないでしょうか? 佐藤先生、斎藤先生。」
そういって、雨雲先輩がわたしに指して言う。
「そしてわたしも——……。」
そういって、声を変え、メガネをかけ、髪をポニーテールに結ぶ。
「お前は……お前らは……桜雨雲と柳川海晴じゃないか!」
「どう? 先生たち。わたしたち生徒に騙された気分は?」
そしてニコッと微笑む。
……これは魔女が悪だくみをするときの笑みだろう。
「クッ……。お前達! こんなことをしてタダじゃなおかないぞ!」
「他人のこと考えるより、自分のこと考えたら? 罪を償うということは、罪をしたということよ!」
雨雲先輩の言葉がホールのなかにこだまする。
「わっ……わたしたちが何をしたというのだ!」
「この子が関係してるのわからないんですか? ほんっと……咎人ってマンガみたいにしらっばくれるのね。」
そういって、わたしに向き直る雨雲先輩。
「海晴ちゃん。あなたは一体この人たちにどんなことされたんだって?」
「はい。わたしは——。」
わたしはいっぱい話した。
この人たちの所為で偽りの点数を返されたこと。
わたしの点数で賭けごとに使われ、自己中心的な事で殴られたり、暴行を受けたこと。
そして、言い終わり、沈黙がこの場を支配した。
「すまないっ……。本当にすまないと思っている。」
佐藤が急にかがみこみ、土下座をする。
「いや……他の学校の教職員の友達が……『金を多く稼げる方法がある』と言って誘って来たんだ! それで……賭け仲間の斎藤と一緒にやったら……もう……止まらなくなっちまって……。本当に……申し訳ないと思っている……。」
「すまない……。」
佐藤と斎藤の言葉が重なる。
「なぁーんてなっ!」
そう言い、ナイフを出してくる。
「俺らがこのまま引き下がるとでも思ったか!」
そして、わたしたちに襲いかかってくる!
「うそ……やめてぇー!」