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Re: —バグ、消去します— ( No.48 )
日時: 2009/07/26 22:39
名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)

ガツッ!
……あれ? いつまで経っても切りつけてこない。
わたしはそっと目を開ける。
そこには、とても大きな背中があった……。

「空雷!」
雨雲先輩が言う。
「……知ってたか? 俺もいるんだぜ、センコーよぉ!」
そして、佐藤の腕を押し上げ、そのままアッパーをくらわす。

「おっ……お前は! 楠空雷!」
「おう! 俺の名前は楠空雷様だ!」
空雷先輩の声がホールの中を駆け巡る様にこだまする。
「かかってこいよ、雑魚ども。」
「チッ……。だぁぁぁぁぁぁぁ!」

佐藤がナイフを持って空雷先輩に切りつける!
「あぶない!」
それを左肩で軽々とよける空雷先輩。
「遅いな。」
そして、ナイフを持っている右手を左手で掴み、
ボキッ!
「あっ……うあ……。」
骨を折らせる。
それと同時に、ナイフが静かに落ちる。
そして、そのまま空雷先輩が右手でみぞおちめがけてめり込ませる!

ドスッ!
「うっ……あっ……。」
そのまま倒れ込む佐藤先生。
「ったく……。ほんっと雑魚だな。こんな雑魚しないねぇーのかよ!」
そういって、長い足でナイフを思いっきり蹴る空雷先輩。

「なぁ……なぁ!」
「ヒッ!」
斎藤先生は尻もちをつき、腰が抜けた状態で走り去って行った。
「お前ら、大丈夫か?」
空雷先輩がこっちに戻ってくる(その時、佐藤先生の体を踏んで変な叫び声が聞こえたのが嫌だったけど)。

「大丈夫。空雷は?」
雨雲先輩が心配そうに聞く。
「俺は大丈夫だって! あんな雑魚に怪我なんかさせられねぇーよ!」
そういって、ヘヘッと笑う空雷先輩。
「でも、不良ってこ—ゆー時役に立つのよね。」
「お前は一言多いんだよ!」
……よかった。普通の先輩たちだ。

なんか……ちょっと異世界にいるような人たちで、わたしたちとは人種が違うような気がした……。
だけど、一瞬だけだけどね。
「さぁ! もう帰りましょう! 佐藤はこんなんだし。気がついたら帰るでしょう。」
「ちょっと待ってよ!」
わたしは空雷先輩と雨雲先輩を止める。

「この人たちほっといていいの? また変なことやるかもしれないのよ!」
「だーいじょーぶだよ! もう、こんなことがあったんだからしないだろうし。」
空雷先輩が陽気に頭の後ろで手を組みながら言う。

「それに! その時はまた電脳探偵部がデリートすればいいでしょ! もし、やったとしても、この事で脅せるしね。」
満面の笑みで言う雨雲先輩。

「そうそう。あーゆー雑魚は脅したもん勝ち。」
「だ・か・ら! 心配しなくていいわよ! 帰りましょう!」
……やっぱりこの人たちは異世界から来た魔女と不良なのだろうか……。

あれから、わたしたちの生活はなんの問題もなしに過ぎて行った。
斎藤先生と佐藤先生はちゃんと謝ってくれたし、賭けたお金も元に戻したそうだ。

それに、ちゃんと成績に不正があったと親に報告し、校長先生にこっぴどく怒られ、全校集会で大騒ぎになった。だけど、わたしはこれでよかったと思う。

だって——……最終的には笑顔だったんだもん(お母さんの笑顔も戻ったし)。
やっぱり……こーやって出来たのは、電脳探偵部のおかげかな?