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Re: 鬼桜伝 ( No.12 )
日時: 2010/01/18 14:42
名前: 咲夜 (ID: RjGXEztJ)

其の五 刀と心が。


「お前たちも、半人間・・・いえ、半妖でしょう。琥珀?疾風?」
「そーだったね。他人のことは言えないね。ひっひひひ・・・」

沈黙が訪れた。弥生は双子を睨みつけ、花百はしっかりと双子を見つめ、双子は楽しそうに二人を見た。半妖は何をするか、分からないのだ。用心しなければならない。まあ、もしものことがあったら斬るけども・・・。

「今夜も行くのかい、半人間・・・おっと、花百さん」
「満月だからね、行きますよ。初音と一緒にね!」
「あー・・・あの最強巫女ね。ま、死なないでね〜」
「そんなこと、簡単に言うでないッ!」

弥生が怒鳴った。すごく強い「気」があふれ出ていて、本当にこの半妖双子を殺してしまいそうな勢いだ。そしてまた、不気味に笑い出す。ひっひひひひひひひひひひ!!

「大丈夫だよね、花百。君が望めば、百年も千年も生きられるんだよね?」
「私はそんなこと、望みませんよ。琥珀、疾風」
「本当?本当?本当に望まないの?いつまでも人間でいられる?」
「当たり前です。琥珀と疾風とは・・・違いますからね」

つまらない、という表情をした琥珀と疾風の半妖双子は狐に化け、どこかへ帰ってしまった。弥生の強い「気」は治まり、花百はため息をついた。

「今度こそ消してやるわ・・・!」
「弥生、そんなことしたら祟りが・・・」
「追い払う」

一言だけ言って、弥生は座り込む。
───どたどたどたどたどたどたっ!!
誰かが、走ってくる音が屋敷に響いた。この屋敷に住むのは私、弥生、初音、愁、次期巫女になる少女のみ。次期巫女になる少女はとても大人しく、無表情なのでこんな走ることはない。愁は・・・さっき出かけたからないだろう。
きっと初音だな・・・。

「こんなところにいたのか、花百!弥生!」
「初音様!・・・花百に御握りを作ってあげたんですよ」
「そうか・・・。ん?ここに妖怪でも来たかぃ?」

さすが初音。

「・・・これは、琥珀と疾風だね」

本当に、さすが初音。

「花百、御握り食べ終わったら私のところまで!」

それだけ言うと、どたどたと大きな音で走って行った。