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Re: 鬼桜伝 ( No.14 )
日時: 2010/01/18 15:19
名前: 咲夜 (ID: RjGXEztJ)

其の六 いざ、出陣?


御握りを食べ終わったので、のたのたと歩きながら私は初音のいる場所へ向かう。わー・・・もう真っ暗だよ、外。そろそろ、だよね。部屋に入ろうとしたら、初音が大きな声で私を呼ぶのが聞こえたので、

「はい?」
「お守りは、ちゃんとつけてるか。刀はちゃんと持ってるか。全部確認!」
「お守りなら、ほらここに。首にかけてますから」
「・・・よし。それじゃあ行くからね。気を保って」

私は力強くうなずいた。
そろそろと屋敷を出て、黄金に輝く満月を見ながら夜を歩く。初音は周囲を見て、私は空を見て歩く。いつ出るか分からない、あいつら・・・。さぁ、出て来い!いつでもやってやるわ!

「花百、出たぞ!───五体だッ!」

初音が叫ぶので、私は刀を構える。前方に三体、後方に二体。・・・え?何が現れたかって?それはね・・・鬼、よ。
巨大で、人の命を奪い、不死身のやつもいるという、鬼。鬼は望めば百年も千年も生き続ける。あまりにも巨大すぎて、満月が見えない。
夜になると、初音はこうして鬼狩りに出る。たまに私も行く。でも、満月の日は絶対に行かなければならないのだ。

(おや、お前、娘さん。半分、人間だな?)

鬼が私に問いかける。

「さぁね?知りたいなら、私を半分にしてみたらいいわ!」

それだけ叫ぶと、私は一体の鬼に斬りかかる。思い切り飛んで、鬼の真上に行く。そして、上から真っ直ぐに・・・鬼を真っ二つに斬った。血が私にかかる。顔に、着物に、刀に血がつく。普通の人なら「やった!」と思うかもしれないが、鬼は再生する。

真っ二つに斬られた鬼は、みしみしと音をたて、再生した。そして、すぐに元通りになる。

(分かったぞ、娘。お前は半分、「 」なんだな?)
「さぁね、知らないと・・・言ったでしょう!」

再び斬りかかったが、今度は失敗した。
鬼の腹に深く、刺してやろうと思ったのに鬼は刀を掴み、私を引き寄せた。鬼は笑い、私を吹き飛ばす。吹き飛ばすときに、腹を強く殴られたので吐血した。

(「 」なのに何故俺たちを殺す?)
「お前たちを殺さないと、京が危ないからに決まってる!」
(なら、お前も殺さないと。違うか?)

私は答えずに、刀に思い切り「気」をためて再び斬った。こうすれば、再生することは困難となる。刺された鬼は、苦しみ、もがきながら消えていった。・・・これで一体、と。

一方初音は、あまり刀を使わなかった。
とても強い霊能力を持つので、鬼たちに「気」を吹き込み消していくのだ。三体は消した。