PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鬼桜伝 ( No.16 )
- 日時: 2010/01/21 14:39
- 名前: 咲夜 (ID: L1bEpBtf)
其の七 人間という形をした人間
鬼───・・・それは、巨大な体、何度も再生する体と、望むだけ生きることができる生物。夜になると出てきて、人を食い、殺す。
銀髪の少女と、黒髪の巫女が一体の鬼に刀を向けていた。二人とも鬼の返り血を浴びていて、着物や巫女装束に真っ赤な血がついていた。何度も斬る。何度も再生する、鬼。
上空から、黄金の髪をした半妖である双子、琥珀と疾風が鬼と人が戦う様子を見ていた。可愛らしく狐の耳を頭から出していたが、中身は可愛くもない。
「花百さんと初音さん・・・苦戦してるね?ひひひひ」
「・・・疾風ぇ、今夜は満月だよ。どうなるか、楽しみじゃない?」
ひっひひひひひひ、ひひひひひひひひひひひひひひひ!!
双子が不気味に笑っていると、一人の青年がどこからかやって来た。そこで双子は笑うのをやめ、やってくる人に赤みがかった琥珀の瞳を向けた。
クセのついた銀髪に、赤い瞳をして、誰かに少しだけ顔が似ている───木下魁、花百の兄だった。
「よぉ、半妖双子。琥珀と疾風」
「あれぇ、もしかして魁さん?久し振りじゃない〜?」
「江戸にいたんじゃなかったのぉ、何で京にいるのさ?」
「たまには来たっていいだろ。俺の妹がいるんだし」
そこで双子の顔は不気味に歪む。
───ひひひひひひひ、ひっひっひひひひひひ!!
ちなみにここ、双子と魁がいるのは上空だ。
三人は浮いているのだ。
「大丈夫なの、魁さん。今夜は満月、満月、満月!」
「───あぁ、大丈夫さ。俺はまだ大丈夫だからな」
「いつ人間じゃなくなるか、私たちは楽しみなんだよ」
魁の赤い目が不気味に光った。
PR