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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鬼桜伝 ( No.17 )
- 日時: 2010/01/21 15:17
- 名前: 咲夜 (ID: L1bEpBtf)
其の八 忘れるな、人であることを。
「初音、これは・・・苦戦ですね?」
「花百・・・、ま、そうだな」
それを見て鬼は不気味に笑い、攻撃をしてくる。
花百と初音は攻撃を避け、「気」をこめて刀を振り下ろし、鬼を斬るが、短時間で再生してしまった。
こんなにも倒れなくて、短時間で再生する鬼なんて始めてだ。
花百と初音は疲れてきて、「気」も、あまり出せなくなってきていた。───最悪の事態だった。
(疲れたなら、休めばいい)
「はっ。休む?それはお前を倒してから、だな?!」
初音は頬についた血を手で拭いながら言う。
(俺は、倒れない。倒れるのは、お前たちだろう)
「それは、どうかな・・・?!」
花百は鬼の背後に忍び寄り、全力で斬った。
頭の先から血を浴び、銀の髪が赤毛になってしまった。
めきめき・・・、と音をたてながら再生する鬼。でもさっきよりスピードは落ちている。倒れるまであと少し、というところか。
(小娘・・・いや、お前は人ではないな?!!)
「消え行くお前に、言ってやろう。私は人の形をした人だ」
(そーか、俺はいいことを聞いたんだな)
「そうですね」
花百が適当に返事をした。本当なら、この隙に初音が最後に斬って、消すはずだった。
だが、鬼は花百の首にかかっていたお守りを、爪で切ってしまった。このお守りは、初音がつくり、あげたものだった。
───はずしてはならない、お守り。
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