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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鬼桜伝 ( No.21 )
- 日時: 2010/01/23 17:33
- 名前: 咲夜 (ID: BZFXj35Y)
其の壱〇 止まれ、鎖よ!
いつもの明るい、花百ではない。
ギラギラと不気味に光る紫の瞳、ゆらゆらと蛇のように揺れる銀の髪、血のついた薄い桃色の着物。血がしたたる刀。地面に落ちた「お守り」。
───今夜は満月だったね、すっかり忘れてた。
耳元で、初音・・・いや、若い巫女の声がするが、とても五月蝿く、耳障りだ。無理やり黙らせようと、刀で斬ろうと思ったが、何故か体が動かない。
───ちっ、まだ完全になったわけじゃないんだな。
目の前には鬼がいる。ずっと私を見ている。きっと、待っているのだ、私のことを。だから、はやく完全な「 」にならないと・・・!!
銀髪が、蛇のような動きをして、腰までの長さになった。肩まであったはずの銀髪が、ありえないはやさで腰まで伸びたのだ。爪も、人間ではありえない長さになっていく。ぐ、と背も伸びていくのが分かる。
「やめろおッ、花百!お前は人間だろう?!戻れ!」
───次こそ斬るぞ、巫女。黙れ。
あぁ、あと少しで私は完全な「 」になれる!
突然、上から三人の人が私の目の前に下りてきた。それは、半妖の双子、琥珀と疾風。そして・・・こいつは・・・!
「魁、兄さ・・・ま?!」
そう、私の兄である木下魁だった。
兄様は私の姿を見ると、ため息をついた。
(戻れ、と初音が言ってる。戻れ、花百)
そこで、ふっと私の意識がなくなった。
*
「久し振りだな、魁」
「はは、久し振りですね。初音さん☆」
「相変わらずのようだな。・・・何で琥珀と疾風がいるんだ」
「悪い〜?」
別に、と言うと初音は気を失った花百を抱きかかえた。
魁は指先に「気」をため、最後の鬼を消した。
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