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Re: 鬼桜伝 ( No.25 )
日時: 2010/01/24 15:11
名前: 咲夜 (ID: o.w9FXPe)

其の拾壱 優しく笑って、ほら、大丈夫。


「───・・・ですから・・・・・・・す」
「なら・・・・・・・・くれ・・・よろしく・・」
「・・・・い」

誰かの話し声が聞こえる。若い少女と少年の声で、聞き覚えがある声。
私はゆっくりと目を開けて、その声たちの主を知る。

「ゆ、き?」

私は布団で寝ていて、隣には巫女装束を着た少女、霧島雪がいた。次期巫女であり、無表情な少女。一つにした長い黒髪。正座をし、私を見つめていた。
ちなみに雪は十五歳。私と弥生の一つ下だ。

「お目覚めですか、花百さん」

雪の声が、私の部屋に響いた。

「ぁ・・・うん。でも何で?どうして?」
「何が、ですか」
「私は鬼狩りしてたはずでしょう。あと、今何刻?」
「今は朝です。花百さんは鬼狩りの最中、気を失いました」

・・・まったく覚えてない。
いや、初音と鬼狩りに行って・・・、そこから覚えてない。初音が私を運んでくれたんだろうか?色々と考えていたら、雪が小さな声で「あ」と言った。

「どうしたの?」
「お守り、紐を強くしておきましたので、簡単には切れないようにしておきました、と初音様が」
「え・・・?」
「それでは、花百さん。後でお茶、お持ちしますね」

すたすたと雪が部屋を出て行き、私だけが残された。
・・・どういうことだ?紐を強くしておいた?
私は首にかかっているお守りの紐を触ってみた。───本当だ。前より少し強くなっていて、簡単には切れなさそう。

ということは?

もしかして、お守りがはずれたのだろうか?!

「私は、もしかして、「 」に、なってしまった、のか?」