ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: エミルのロッカー ( No.10 )
日時: 2010/01/31 06:50
名前: ヨシュアさん ◆FdjQaNCWZs (ID: bQobMYPz)

第六話『ジャンプ+13日ルール=パシリ』

一通り紹介を終えた。

さて、ともかく……。まだ、もうひとつ聞かなきゃいけないことがあるのだけど……。

「あのー……」

「うん、そうですね。そうしましょう」

「まっ、大丈夫だろ」

何を相談しているのだろうか。

数分後。結論に到ったのか、ツインテールの叶宮 流衣がに近寄ってきた。申し訳なさそうな顔をして近づいてくる。いや……だから、その左手に持つ液体をこっちに近づけないで……。

「いや〜……。あの時はごめんね。でさ、お詫びというわけでね……。あんたがあたしたちのアトリエに入るってのはどうかな?」

こんな、美少女ばっかりのアトリエに入れるなら、男としては嬉しいわけだが……。

「あの……僕、男なんですけど……。ここソーサリスのアトリエなんですよね?」

イフィルが“へらへら”と笑って答える。

「ああ、大丈夫。大丈夫。また、ここを合同アトリエに戻せばいいだけだし。それにあんたみたいな、弱気で、病的で、どうにもこうにも力でも女子に勝てないあんたなら全然OKだよ!」

何ていうか男としての尊厳が遠まわしで僕に無いと言われてる気がする……。

うん、しかも“○○○そう”とか“○○○っぽい”じゃなくて全部を確定で言ってるところがさらに酷い気がする……。

というより僕は病的じゃない。風邪だってここ12年はひいたことが無いのに……。

「というわけで、君にはこのアトリエのメンバーになるために試練を受けてもらいます」

金髪のジュリアがそう言う。って、あれ?

「あの〜……僕……お詫びとして入れてもらえるんじゃあ……。」

ジュリアは財布を取り出すと、小銭がぶつかり合う良い金属音が聞こえる。

「あれとそれとこれは別です。それでは試練として、ジャンプを買ってきてください」

怖い笑顔というものを初めて僕は体感した……。

ジュリアからお金が手渡される。

「あ、私13日ルールで13日以内に新刊のジャンプを読まないと死んじゃうので、は・や・め・に持ってきてくださいね」

「いや、それ嘘のルールですよね!?あれがあったからこそキラは生き延びれましたけど!」

笑顔だ……。超絶な笑顔です……。最高に笑顔でございます……。

「早く言って来い……」

「はい……」

“バタン”とアトリエの扉が閉まる。エミルという少年は試練という名のパシリに向かったのだった。

もう閉まった扉に向かって、イフィルが言う。

「可哀想に……。これからジュリアのパシリとして使われるのか……」

その横で流衣が続ける。

「う〜ん、じゃあ私のガンプラのペイントの色も買ってきてもらっていいよね」

ジュリアはリーダー代理の立派すぎるイスに深く座った。

「あっ、ジャンプSQもいっしょに頼むの忘れてました。……まっ、いいか」

リフィスはさっきまで彼が目に当てていたタオルをそっと手に取る。

「みんな……」

全員がリフィスのほうを見る。

「私……好きな人が出来たかもしれません……」

全員が驚いた。リフィスが男性に興味を持つなど。とりあえずルシファーがヴァルキュリアに告白するレベルの驚きだ。

「ねぇ!リフィス、それって……誰!?」

全員がリフィスに詰め寄る。

「多分、今。全速力で走ってると思います……」