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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 序章 ( No.6 )
- 日時: 2010/01/20 18:41
- 名前: 蒼緋 ◆QdmU9GKv4w (ID: l4scGqhv)
「お前はどうしてここにいる。」
薄暗い路地裏から声が響く。
「………。」
一人の大男が立っていた。
「もう一度聞こう。何故ここにいる。」
ひどく低く響く声だった。男の声。
まるで心を揺さぶろうとするような、そんな声だった。
「…わからない……。」
声はひどく幼い、まだ5、6歳くらいだろう。
暗いから良く分からないが、髪は無造作に伸びている。性別も見た目ではわからない。
男は、眉をひそめてこういった。
「名前は?」
「わからない。」
すぐに返ってきた。
「年は?」
首を横に小さく振った。
「親は?」
「わからない。」
(仕方ねぇな、せめて性別は確めよう。)
「お前は男か?女か?」
反応が遅い。が応えた。
「…男。」
男がいった。
「そうか、わかった。なら、俺の家に来い。」
少年が見上げてきた。
こうしてみると、意外と整った顔つきをしている。
「何故だ?」
少年が訊く。
「行き先がないんだろ?なら来い。俺がお前を面倒見る。」
男は少年の方に手を乗っけた。
「いいだろう?」
少年は、縦に首を振った。
「それから、お前の名前は、今からソルトだ。名前がないと困るからな。」
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