ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 刃 ( No.134 )
- 日時: 2010/02/22 20:34
- 名前: right (ID: zuIQnuvt)
- 参照: 『刃』はご覧のスポンサーの提供でお送りしています。byミィミィ
Ⅸ.それは必然的に持ってしまった力でしかない 後半
>>98の続きです。
「それに、あなたは……」
少女が何かを言おうとした時、商店街の天井のガラスが割れた。割れたと同時に黒い影。月光に照らされる、何かの刃。まさか。
逃げろ。
本能が叫ぶ。二人を連れて逃げろ。逃げて、逃げて、逃げまくれ。ヤツの標的にされる前に。でも、頭が痛い。体を動かしてくれない。まだこんなところで死にたくない。こんなヤツに殺されてたまるか。
『死神リュウ』。出会ったヤツは、残酷に殺される。よくても、体をばらばらにされるだけ。悪くて、内臓をもぐしゃぐしゃにされる。そんな、ひどすぎるヤツ。決して勝者になろうとしない、戦いを楽しむ狂人。
「………」
歩いて、こっちに来る。ヤツとの距離は、約三十メートル位だ。
あれ、いない。あの子は、変な服着たオンナノコはどこに。
走っていた、『リュウ』に向かって。その手にサバイバルナイフを持って。
「やめっ…」
止めなければ、彼女が死んでしまう。
一度、その『経験』をしたから、わかる。ヤツは、強すぎる。勝てない。誰でも。
「……っ」
頭痛の次は意識が朦朧としてきた。ヤバイ。これ、なん…だよ。立てない。足に力が入らない。昔のことなんか思い出さなければよかった。思い出そうとしたから、こうなったんだ。
俺の馬鹿、阿呆。
こちらは刃渡り十八センチくらいのナイフ。敵は刃渡り大体、六十五センチぐらいの刀。不利だ。体格も、背も、腕力もちがう。不利過ぎる。じゃあ、自分の体を利用しろ。そうすれば、勝てる確率は少しは上がるだろう。ミィミィはそんなことを頭で考えていた。
心葉から教えてもらったことなら、できる。
敵は刀を容赦なく振り翳してきた。左に横飛びし、空いた左の脇腹にナイフを突き刺そうとしたが、見事に避けられ、後ろに回られた。また、来る。後ろから刀がミィミィの右の頬を、掠めた。僅かに髪の毛も斬られた。風に流されていく。今だ。くるりと一回転すると、めちゃくちゃだが、何度も何度も斬りつける。刀で防がれるのは百も承知。キン、キンとリズミカルに、金属同士がぶつかり合う音がする。
その音も、しばらくしたら消え、金属がギギギ、とこすれあう音に変わる。力と力のぶつかり合い。時に火花が散る。二人の力はそれほど強いということだ。
両者、刃を交差させたまま、にらみ合い。いつどちらが隙を作るかを狙っている。
「……」
『死神リュウ』。
最凶の、『人間』。
「うう…ああああああああああ!!」
突然な、友哉の叫ぶ声。
戦いが、止まる。
目が、赤い。
これは。
続く