ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 刃 ( No.20 )
日時: 2010/03/08 21:03
名前: right (ID: zuIQnuvt)
参照: 『刃』はご覧のスポンサーの提供でお送りしています。byリュウ

Ⅲ.Ryu 後半

ミヅキが生きていた。

会いに行かなければ、会いに行って、あいつに謝らなければ。あれは父さんのせいじゃない。俺のせいだ。ミヅキごめん。許さなくてもいい。でも、お前に話したいことがある。ミヅキ、ミヅキ、ミヅキ……!
俺はあの後、すぐにビルを飛び出し、『グングニル』を徹底的に探した。途中で『狩人』が出てきたが、そんなもの眼中にない。すぐに殺してやった。友哉…?あんなヤツのこともどうでもいい。今は邪魔だ。今は、ミヅキだ。ミヅキを探さなければ。
ミヅキ。


——上からの冷たい、視線。

まただ。また、来た。
天を仰げば、電柱に立っている男が一人、笑って俺を見ていた。その手には、自分と同じ日本刀。
『リュウ』。
逃げたら、殺される。
じゃあ。
戦え。

すぐさま両者は日本刀を抜き、リュウは下に飛び降り架月に向かって走り、また架月もリュウに向かっていった。
ヤツの日本刀が右に一閃され、俺の頬をぎりぎりかすった。俺は縦に思い切り力を入れて刀を振ったが、後ろに退がられた。退がるなら、進め。また走って、左に一閃。退がる、進め。右に一閃。退が、らない。刀で防いだ。重い、押してくる。押される。ギギギギ、嫌いな音。刀が『折れる』。重い、重すぎる。離さないと、斬られる。刀ごと、斬られる。自分の刀がまるで、木の枝みたいだった。くそ、これじゃ、やられる。全力ではじき返せ。上へ、全力で。
「くっ‥‥ぅおおおおおおお!!」
刀を全力で押し返し、はじき飛ばした。ヤツの刀が宙に舞う。ヤツにはないもない。今だ、突き刺せ、切り刻め。
でも。
笑っていた。
目の前にいなかった。後ろだ。
「残念」
彼の口が三日月のように裂けた。
ヤツにしては上機嫌だった。

鈍い音。

刀が、俺の横腹を貫通していた。

「あれはダミー、鉄の棒。こっちが本物」


俺の、馬鹿野朗。

           続く