第二章 プロローグ降りしきる、雨。俺は窓から灰色の空を見つめていた。真っ白な何もない部屋。ミヅキは俺の隣にいた。その小さな手を握り締めて、一緒に眠った。小さい頃の記憶はそれぐらいしかない。なぜ、俺たち兄弟はあの真っ白な部屋にいたんだろう。——記憶が、ばらばらになっていく。日を追うごとに、少しずつ、少しずつ。その理由はわからない。