ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 刃 ( No.228 )
- 日時: 2010/02/25 16:24
- 名前: right (ID: zuIQnuvt)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=13503
第二弾で採用された禰音さん&クロックGO〜さんのオリキャラが出てきます!詳しくは参照をっ。
Ⅰ.astray[迷走・堕落] 中
建物と建物の間から黒い影が三つほど、少女の前に現れた。死刑囚か。彼らは防弾チョッキのようなものを着ており、銃を持っている。しかも、妙にごつい。髪の色、瞳の色からして外国の死刑囚だろう。こちらも、マグナム弾を装填しているショート・リコイル式の銃を構えた。
英語で、何かをしゃべっている。少しぐらいは英語はわかるが、早すぎてわかりにくい。だが、この言葉は聞き取れた。
『kill』
つまり、自分を殺すということだ。
ふ、とため息をつき、金色の目で死刑囚たちを睨みつけた。彼らも睨みつけてくる。
一瞬の沈黙。
先に動いたのは、少女のほうだった。まるで猫のように軽やかに且つ静かに走り、信号機の上に飛び乗った。死刑囚たちは彼女に向けて、銃を放つが簡単に避けられる。信号機の上から消えた。いない。どこを見回してもいない。
「goodbye、子豚さん」
一番後ろにいた死刑囚の後頭部に向け、銃を突きつけていた。
そして、引き金が、引かれた。
シュウウ、と肉が焼けるような音がする。さすがマグナム弾だ。焦がすほどの威力を持っている。撃たれた死刑囚の一人は動かない。それは当たり前だろう。だって、頭を撃ったのだから。ほかの二人は、それでも自分を恐れずに、銃を向けてくる。仲間など心配してないようだ。いや、彼らは仲間でななかったのだろう。まあ、どうでもいいことだけど。
…さて、お料理をしちゃいましょう。
——彼女は、所々穴が開いていたり、ある部分がない三つの遺体のそばで、銃の手入れをしていた。彼女の服は返り血や飛び散った血で汚れていた。
「禰子」
名前を呼ばれた。
自分の名を知っているのは、あの『メンバー』ぐらいだ。
「耀、何?」
自分のすぐ隣にあるビルの屋上に向けて、名前を呼んだ。屋上には、右目に眼帯をした青い髪の青年。その背には、マシンガンが二丁。
「こちらも動くぞ」
何か、含みのある言葉。『動く』。
ああ、そういう意味。
リュウたちにも知らせなきゃね。
——黒いフードを被った男が、俺に近づいてくる。紫の瞳。知っている、けど、知らない。知らない、けど、知っている。何なんだ、一体。
「覚えているはずないか……」
そういうと男はフードを取り、俺に顔を見せた。やけに白く、男の自分でもきれいだと思っていしまうほどの、美青年。自分より年下に見える。髪の色は、黒に近い焦げ茶色。
「何なんだ、お前」
「貴公は、記憶がなくなるというデメリットがあるから、知らないはずだな。うん」
何で、知っている。記憶がなくなっていることを、なぜ?でも、デメリットって…?
「私は貴公の『生みの親』というべきかな?」
え?
「No.002『強靱の盾』。『paramount human』が唯一恐れる最強の『paramount human』」
続く