ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 刃 ( No.257 )
- 日時: 2010/02/26 15:35
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
番外編
第二話[過去]
*内容*
架月とミヅキの壮絶な過去話。
両親から家庭内暴力を受けていたある日の二人。二人は公園で、ある少年と男性に出会う。
登場人物
橋田 架月…当時十二歳
ミヅキ…当時十歳
父…当時三十五歳
母…当時三十四歳
話は↓です。
- Re: 刃 ( No.258 )
- 日時: 2010/02/26 16:11
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
番外編
第二話[過去] 前編
ごめんなさい。
そう言い続けなければ、父さんは殴ったり蹴ったりするのをやめてはくれない。母さんはその光景を黙って見つめているだけ。しかも、言葉で俺を、俺の心を壊そうとしてくる。俺だけならまだしも、ミヅキにまで二人は『暴力』をするのだ。そのおかげでミヅキは、あまりしゃべらず、何に対しても無感情で、大人に心を開こうとしない、そんな子になってしまった。僅か十歳でだ。かわいそうだった。俺よりもかわいそうだった。
あいつらのせいで。
「…何だ、その目は」
ほら、彼の顔を一目見ただけで彼は俺に、鬼のような形相で迫り、手を上げる。まるで、何も我慢できない子供だ。
「…っ!」
頬を、思い切り殴られる。鉄の臭いと味がした。どうやら口の中の肉が切れたようだ。
次は腹だ。腹を蹴られる。
「…ぅあ」
口の中に溜まっていた血を吐き出してしまった。吐きそうだ。気持ち悪い。咳が止まらない。ああ、きっと腹は痣だらけだろう。痛い。痛くてたまらない。
彼女を一瞥する。
バラエティの番組を見ているのだろうか、けらけら笑っている。まるで、俺たちは眼中にないって感じだ。
何で、俺たちは生まれたんだろう。
二人を見ていて、ふとそんな言葉が頭をよぎった。
俺たちは何で、何の意味があってここにいる?何で俺たちを生んだ?何で?その言葉を大きな声を張り上げて、この二人に聞いてみたい。
「……んで……」
俺がかすかに言葉を発すると、父は俺を殴ろうとする手を止めた。
隣の部屋のふすまが開く。ミヅキだろう、きっと。
「何で俺たちを生んだの…?」
自然と、涙が出ていた。
二人は俺を驚いたように見つめていた。
俺は立ちあがって、ミヅキの手を取り、外へ走った。
——本当に忌まわしい過去。今すぐにでも忘れたい過去。
でも、これだけは忘れてくれない。忘れさせてくれない。
後半へ続く
- Re: 刃 ( No.259 )
- 日時: 2010/02/26 16:14
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
番外編
第二話[過去] 後半
——作成中——