ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 刃  ( No.28 )
日時: 2010/03/08 21:00
名前: right (ID: zuIQnuvt)
参照: 『刃』はご覧のスポンサーの提供でお送りしています。by友哉

Ⅳ.イーグル『鷹』 前半

真新しい血だまりの中に、銀色の鍵が一つ。
それを拾う誰か。

「あーあ」

黒髪の、青年。


——あれからもう六時間は経っている。急に飛び出していって、何かを探していた。しかし、戻って来ない。どうしたんだよ、架月。まさか、探してる途中でやられたとかじゃないよな。‥‥冗談キツイって。これ以上、大切なヤツらを失ってたまるかってんだ。でも‥‥でもよ、そんなはず、ないよな。なあ‥‥!
彼はビルを出て、探した。アイツを、架月を、大切な幼馴染を。
「馬鹿野朗‥‥!」
昔からアイツはホントに馬鹿野朗だ。


痛い‥‥痛い、痛い、悔しい、痛い、負けた、痛い、殺されなかった、痛い、『生かされた』、痛い、悔しい、悔しい、悔しい‥‥!!
何で、俺を。
ああ、そうだ。ミヅキ、探さないと。探して、どうするんだっけ。痛くて、覚えていない。でも、会わないと。会って、あ、やま、ら‥‥な‥‥‥と。
血が彼から大量に出てくる。真っ赤で、温かな血が。
それを見下ろすは少女。
「大輝、怪我人。生きてるよー」
こえ、き、こえ‥る。
ともや‥‥?
自分から発せられるのはひゅーひゅーと微かな息の音。
それしか、覚えていない。


人々が唯一安心して暮らせるという地下街の一つ、『カワサキ』。ここは、本来電車が通る地下鉄だったが、組織のゲーム開始後、ここが、主にゲームに参加しない人々のための『場所』となった。日本の全地下鉄がほとんどそうなっているらしい。
そこに、友哉はいた。
地上に比べ、人々は明るく、店もやっていて、活気付いている。ここなら、ある程度情報は得られるし、医療は完璧ではないが怪我は治療できる。もしかしたら、いるかもしれない。よし、ならあそこだな。

情報屋も兼ねてる『バー・イーグル』。

             続く