ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 刃  ( No.30 )
日時: 2010/01/25 21:46
名前: right (ID: zuIQnuvt)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=13503

採用された蒼緋様のオリキャラが登場します。少々、設定されたのとちがう可能性もありますのでご了承ください。詳しくは参照を。

Ⅳ.イーグル『鷹』 後半

このバーはゲームに参加している者だけが入ることができるちょっと特殊なバー。情報屋でもある。バー・イーグルを経営しているのが和田夕子。四十過ぎのオバサンで、料理は人一倍うまい。女将さんとも呼ばれている。
ドアを開けると、一斉に俺を見たが、すぐにみんな視線を元の戻す。様子を見れば、参加者同士で情報交換しているようだ。また『リュウ』が現れたとか、反テロ組織ができたとか、いろいろな情報が今、自分の頭の上で飛び交っている。
「あら、友哉じゃない。どうしたのさ、座りな」
女将さんは俺を見つけると、カウンターに手招きする。一応、常連だ。俺は酒を飲んでいるじいさんの隣に座った。
「とりあえず…コーヒー」
「はいはい」
女将さんは店の奥へと入っていった。…コーヒーの準備だそうだ。
俺は黙って、隣にいるじいさんの胸元に万札を何枚か、誰にも見えないように入れた。
「…三つだけ教えられるぞ」
宗方竜一郎、情報のエキスパート。その強さは伊達ではない。バー・イーグルの情報屋でもある。彼がいるから、ここが情報屋としても成り立っているのだ。
「まずは、うーんと…俺の幼馴染がどこいるか知ってるか?じーさん」
「ほう、あの刀坊主か…」
女将さんが俺たちの様子を見たのか、黙って、まるで聞いていないようにコーヒーを俺の目の前に置いた。
「知っておるぞ。確か、茶髪で二つしばりの譲ちゃんと、若い…短髪で黒髪の男が刀坊主を担いどるのは見たのが……」
「ホントか…!」
けど、担いでるって…まさか、遺体処理屋か?

「茶髪で二つしばりと短髪で黒髪、といえば僕の仲間ですね」

じいさんの声ではない。誰だ。

振り向けば、なにやらニコニコしているダークシルバーでミディアムショートの青年が立っていた。ベルトには銃が左右に二丁、右後ろには…鎖鎌?
「おや、失礼。僕は金城心葉、二十二です。ちょっと、気になった言葉を耳にしたものですから」
「で、何の用?俺今、じーさんと…」
話し終わる寸前で、こいつは長々としゃべり始めた。
「あなたの幼馴染は反テロ組織、『鷹』で預からせていただいております。お引取りをお願いしたいのですが、条件があります。『グングニル』の鍵を渡していただければ、彼をお返しします。期間は…手紙にもあったでしょうが、明日の十月三日から十日の間です。その間に、見つけてください。彼は持っていませんでしたから。もし、期間の間に渡してもらわなければ…」
「ま、待て。話がよく…」
突然すぎて、気まぐれな俺も混乱する。じいさんは…寝てやがる。
でも、心葉ってヤツがいった言葉に俺は驚きを隠せなかった。

「殺します」

そいつの顔は笑ったままだった。

        続く