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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 刃 ( No.36 )
- 日時: 2010/02/06 12:43
- 名前: right (ID: zuIQnuvt)
- 参照: 『刃』はご覧のスポンサーの提供でお送りしています。byミヅキ
Ⅵ.ミヅキ 上
僕の家族。
僕の親は僕を捨てた。僕の兄に僕を殺させた、ひどい生き物の一種。そんな家族なんていらない。存在価値なんてないから。だから、僕は父親と名乗る生き物と母親と名乗る生き物を殺してやった。
兄と名乗る生き物は、殺さなかった、殺せなかった、殺したくなかった、殺せるわけがなかった。
僕を守るって言ってくれたから。
でも、父親と名乗る生き物が兄から僕の記憶を奪った。兄は僕を見て、「誰」と言った。
それは、僕が十一歳のときだった。学校から帰ったときに、言われた。兄は冗談で言ったかもしれないが、そのときの僕は記憶を奪われたんだ、と心のそこから思った。今でも思っているかもしれない。いや、そうだ。そうに決まっている。
そのときに、二人を殺そうと思った。
でも。
兄がそれを阻んで、僕を殺させられた。
でも。
僕はもう一度生き返った。生き返って、二人を殺した。
それはもう、快楽だった。幸せすぎた。もう、これ以上、幸せなことがないくらい、幸福感と快感で僕の体は支配されていた。
だから、おいで。あんたも。『グングニル』のドアを開けて来るんだ。
『お兄ちゃん』。
続く
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