ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 刃 ( No.7 )
日時: 2010/03/08 20:59
名前: right (ID: zuIQnuvt)
参照: 『刃』はご覧のスポンサーの提供でお送りしています。by友哉

Ⅱ.手紙 前半

ガラスが割れ、全ての物がズタズタに切り裂かれ、電気ごときも点かない、十階建てのビルの一室。
俺はそこにいた。…ここは神奈川だったか、埼玉だったか、もう忘れた。そんなことどうでもいい。ただ、生きることだけを考えろ。それだけに執着していればいいんだ。
それにしても、綺麗だ。
ここから見える朝日は俺の心を唯一癒してくれる。

今日でゲームが始まって、丁度三ヶ月。

幼馴染の『アイツ』はまだ、戻って来ていない様だ。まさか、やられたとか。
……んなに弱いわけないか。
「…ふわぁ」
気を抜いていたら欠伸が出た。そういえば、体がだるくて重い。疲れがたまっているんだろう。
俺は部屋にあったぼろぼろなソファに寝そべって、目を瞑った。そうすると、すぐに眠気が襲ってきて……んで……。
「…………」
そこで意識が途切れた。


何で俺が人殺しなんかやんなきゃいけねえんだよ。ったく、たまったもんじゃねえな。ま、罪になんねえし、いっか。っとと、そんなこと考えてる暇ないんだっけか。さて、俺も頑張りますかねえ。
茶髪の彼は傾いた電柱の影に隠れ、彼ら『狩人』を待ち伏せていた。
こちらの武器はナイフ二本に手榴弾が…五つか。……よし、もうそろそろ来る頃か。まずは、この手榴弾の金具をとって。
道路に手榴弾を二個、それぞれ奥と手前に投げ込む。
七、六、五…。
『狩人』が道路の南から走ってくる。よし、そのまま、そのまま。
四、三、二、一。
彼らが爆弾のある二、三メートル手前に来たときに、ドンっと大きな音を立て、爆発した。爆風のせいでか、何かの塵やら埃やらとりあえず、そこらじゅうに舞い、何も見えなくなった。
この隙に逃げますか。
彼は幼馴染が待つビルへと向かい、走った。

ドン。
その音で目が覚めた。
何かが爆発する音。手榴弾、か?もしそうなら、『アイツ』戦ってんのか。
どうでもいいから、また寝る……、
どんっ。
「よっ」
どたっ。
ドアを激しく開ける音にもびびったが、なにしろ自分がそのせいでソファから落ちたことにもびびった。
「…いって」
「…?寝てたんか、架月」
不思議そうに首をかしげる『アイツ』になぜか苛立って、にらみつけた。
「な、何だよ」
どうやらこいつはかなりの鈍感野朗らしい。…一発ぶん殴ってやろうか、この『気まぐれ友哉』め。
「あ、そういえば、ドアに挟んであったけど。これ」
友哉が差し出したのは、白い封筒。差出人の名前も何も書いていない。中に入っていたのは、手紙と何かの鍵だった。
「…?」
手紙の内容よりも差出人が気になり、手紙の最後の文を見る。

そこには——。

           続く