ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 刃  ( No.91 )
日時: 2010/02/23 18:05
名前: right (ID: zuIQnuvt)
参照: 『刃』はご覧のスポンサーの提供でお送りしています。by心葉

Ⅷ.VS『バーサス』上

ねえ、死ぬとどうなると思う?
わたしは、闇に包まれて、目の前が真っ暗になると思う。
何でって……?
死んだからでしょ?
もう、ゲームオーバーなんだから。


天国なんか、ないよ。

あるわけ、ないじゃん。


——『鷹』のアジトは中学校らしい。つまり、俺が寝ていたところは一階の保健室。会議室は同じく一階の職員室。食堂は同じく一階の給食配膳室。二階の一・二年生教室は男子の部屋。ちなみに男の数は六人、女は三人。一人一教室。三階の二・三年教室は女子の部屋。体育館は使っていないそうだ。理科室はコンピュータールームとして使われている。
そのコンピュータールームにキーボードを叩いている少年がいた。特徴的な髪色をしている。紅、色。血の色にそっくりだ。
「何すかぁ、センパーイ…ってだれっすか」
くるりと椅子が回転し、こちらの方を向く。
「彼、ですか。彼は『ミヅキ』の兄の橋田架月くんです」
俺、お前の子供じゃねえけど。自分で自己紹介ぐらいできるって。
「で、何の御」
その瞬間、窓が。

割れた。

「敵襲!!」

心葉が大きな声で、少年のデスクにあったマイクをつかみ、そう言った。
「場所は体育館っ!!全組織員戦闘配備!!」
あの大きな音は体育館のようだ。二人はそれぞれ武器を持ち、走り出した。俺も追いかける。すぐ右にあった階段を下りて、一階の廊下を走り出す。
速い。
置いて行かれないように全力で走った。
「おいっ!敵が来たのか!」
「ええっ!武器は持ってますか?」
腰にはいつも挿している日本刀がない。
「刀はどこだ!」
体育館まであと数十メートル。
「武器庫です!保管してありますが、ここからだと遠いのでこれを」
走りながら銃を渡される。
これを使えってことか。

そして、入り口にたどり着く。

開けば。

仲間らしき者たちと。


ミヅキが、いた。


ああ。
生きていた。ミヅキが生きていた。気持ちが悪い。頭が痛い。痛い、気持ち悪い。イヤダ、会いたくなかった。会いたくなかった会いたくなかった会いたくなかった会いたくなかった。俺は俺はおれはオレ、は?俺は。これは、何だ。この感覚は何だ。俺の中を這いずり回る感覚は。これは、ミヅキじゃないと言っている。ミヅキじゃない、ミヅキじゃないんだ。でも、いる。ここに、俺の目の前に。ミヅキだ。戦わなくてはいけない。殺さなきゃ。また、殺さなきゃ。出て来るな、来るな。殺そうよ。嫌だ、お前は誰だ。
ミヅキの口が動いた。

「久しぶり、『お兄ちゃん』」


聞きたくなかった、言葉。


       続く