ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜アビリティワールド〜こっちが本物 ( No.1 )
- 日時: 2010/01/18 17:04
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
1話 『プロローグ』
暗黒歴17年 2035年
日本は暗雲の下で暗い生活をしていた。
といっても、現在日本には一般市民はいない。
日本にいるのは数万人の自衛隊員と科学者。
暗黒歴が始まる前の新聖歴20年に、東京にはある建物が建っている。
地上40階、地下20階の五角形の建物。
“超能力者隔離塔 Aー2017 日本支部”
見た目の形から‘ペンタゴン’と呼ばれるこの建物は、その名の通り超能力者を隔離している。
この建物は世界にいくつもあり、数百人もの超能力者を隔離している。
そして、地下20階に今回の主人公がいた。
‘ペンタゴン 20階 特別超能力者隔離フロア’
長い廊下の壁には、いくつもの鉄でできた硬いドアがある。
そして、その前には武装した看守たちが脱走しないように警備をしている。
このフロアの奥に、主人公はいた。
男は畳三畳半のベットとトイレしかない部屋で寝転がり、天井を見つめていた。
部屋には男の息を吐く音しか聞こえない。
男の眼は光を失い、希望も勇気も失っていた。
「彼の様子は?」
部屋の外から聞こえる男性の声。
ドアの前には大柄な男が看守と話していた。
「変化はありません。トレバー看守長。」
「そうか。まぁ、あのときみたいに脱獄しては困るからな。今回は脱獄できんだろう。あの時は仲間がいたが、今回はいない。」
看守長のトレバー・ヴァレンティーンはそう言うと、微笑してフロアを後にした。
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アメリカ ホワイトハウス
アメリカの空は日本とは反対に青く、活気にあふれていた。
現在の大統領、ノア・エーオースは椅子に座り外を眺めていた。
「平和だな。奴らがいないと・・・」
ノアはそういうと、デスクの引き出しから書類を取り出した。
「神宮優太」
「高橋七海」
「神崎榛名」
「須波有菜」
「ジュミール・アイリーン」
「夢界人」
「チャールズ・ウォーカー」
「クラウディア・G・ホルテミウス・ジュニア」
書類には名前が敷詰められて書かれている。
ノアは一つ一つの名前を目で追っていく。
「つまらん世界になったな。」
ノアはそういうと、書類を引き出しに戻した。